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2014-11-01 00:00
(連載2)北朝鮮は拉致被害者を戻す気があるのか
中村 仁
元全国紙記者
今回の協議の成果がほとんどないので、日本側は「過去の調査結果にこだわらず、新しい角度から調査を深めていく」との妙な発言を評価するしかないようです。その意味は「調査はそういうものであり、新しい要素はない」でしょう。確かに行方不明者、日本人配偶者などについては、調査してみないと、全容は分らないかもしれません。結局、日本側が「最重要課題」とした拉致そのものの問題には踏み込まず、日本人遺骨問題を優先しようとしているとみられています。これで時間稼ぎをするつもりなのでしょう。
金第一書記に近く、秘密警察を統括し、国家安全保衛部副部長のソ・デハ調査委員長ら責任者が全員出席し、テレビニュースにも姿が映っていました。これは「やる気がある」という形だけはみせておくことなのでしょう。会談場所の「特別調査委員会」の庁舎は、「拉致被害者・行方不明者」などと書かれた部屋もあり、報道陣はそばを通ったようです。「物音がほとんどせず、職員が勤務している様子はうかがえない」と、記事は伝えています。「箱は作った。中身はない」が真相なのでしょう。演出だけは凝っていますね。
拉致被害者家族会は「失望するだけだから」と、今回の訪朝団の派遣には懐疑的でした。そうであっても、ここで派遣しなかったら、二国間交渉の糸が切れ、それでおしまいです。やはり派遣は必要でした。北の小出しと引き延ばしに忍耐強く対応していくしかないようです。新聞の社説で「北朝鮮が誠意のない対応を続けるなら、制裁を復活させることも選択肢になろう」という表現をみかけました。もともとこの国は、誠意とは異なる行動基準で動いています。「誠意」を要求するのは言葉のムダです。
メディアの報道で気になってしょうがない点がありました。北朝鮮側の「通告」あるいは「通報」という表現をよく記事でみかけます。まるで日本側に「教えてやる」というニュアンスがありますね。普通なら「報告」でしょう。恐らく北朝鮮は「通告」、「通報」の意味と、「報告」の意味を使い分けているのでしょう。メディアはそこをもっと突くべきです。日朝関係では、加害者は北朝鮮、被害者は日本なのに、その立場が入れ替わっていますね。加害者の立場のほうが強くでるという転倒した関係は許せません。(おわり)
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