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2014-10-24 00:00
(連載2)秘密保護法、最後は国家機密の開示を
中村 仁
元全国紙記者
そうだとしても、期間が満了したらどうするのでしょうか。10月15日に決めた運用基準を読みますと、「歴史公文書は国立公文書館等に移管、歴史公文書に該当しないものは廃棄」などとなっております。これだけで、解除後の公開に関する規定が明らかになっておりません。恐らくそんなことを承知のうえで、政府はこんな基準にとどめたのでしょう。あれこれ突かれるので、情報公開を政府はとにかく嫌がりますからね。せっかく政府、官庁が勝手に機密文書を廃棄して、自分たちがやってきたことをうやむやにしてしまう行為には歯止めがかかることになります。この面では政府の信頼を取り戻せるというのに、そして、さらにもう一歩踏込めば、機密保護法はいい面があるのだと、国民に思ってもらえるのです。これではそのチャンスを逃しますね。
廃棄されてしまったら、機密情報は国民の目に触れることなく、永久に機密扱いのままにされ、消えたのと同じことになります。これでは機密にする期間の設定などわざわざする必要はありません。歴史公文書の定義もあいまいです。歴史公文書でないと、拡大解釈されると、勝手に廃棄されてしまうのです。公文書館に移管された歴史公文書はどうなるのでしょうか。情報公開法で請求すると、開示するのでしょうか。何が移管されたか分らないのですから、何に開示要求をだしたらよいのかも分りませんね。困りますね。
実に不思議な運用基準です。機密扱いする必要がなくなったら、一律に公開、開示すればいいのに、なぜそうしないのでしょうか。運用基準を伝える新聞を読むと、日経新聞は「公開するか、(その価値もないので)廃棄するかは、第三者機関が審査する」よう社説で提言しています。なにも大量の紙に保存せず、デジタル処理でデータ保存しておけば、スペースもとりません。何も廃棄する必要がないのではないですか。これも不可解な話です。読売新聞は、秘密指定、運用の厳格化など「入り口」論にもっぱら触れ、どういうわけか「出口」論という、もうひとつの重大問題には目を向けておりません。
日弁連は「最終的に公開するための確実な法制度がなく、多くの特定秘密が市民の目に触れることなく廃棄される可能性がある」と指摘しています。そうだと思いますよ。その一方で「同法を廃棄した上で再検討を」と、国際情勢など日本をめぐる大局的な環境には無関心のようで、トリの目でなくムシの目でしか考えないといういつもの習性には落胆させられます。とにかく機密情報の「出口」に、厳しい要求を突きつけていく必要があります。(おわり)
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