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2014-10-04 00:00
(連載2)アベノミクスに異変か
中村 仁
元全国紙記者
次の誤算は、消費税の引き上げ(8%に)と政策的な消費者物価引き上げという、合わせワザが裏目に出ていることです。2%というインフレ目標を掲げ、心理的な効果でデフレを脱し、経済の好循環(景気回復)が始まり、所得が増えれば、消費増税を飲み込める、との腹つもりだったのでしょう。これまでのところ、逆に消費者は、消費増税による所得の目減り、政策的インフレによる所得の目減りのほうを実感しているようですね。インフレによる先買い需要の刺激を政府、日銀は期待したのに、節約志向のほうが強まってしまい、消費の回復は思わしくなく、これも悪循環にはまっている気配です。
さらに、こうした経済環境のもとでは、「次の消費増税を15年10月とし、そのことを今年の12月には決める」(消費税法)ことが難しくなるという問題があります。このことについては、ブログでなんどか書いてきました。最近はデパート業界が「年末商戦の時期は避け、半年、延期してほしい」などといっています。「法律の予定通りに強硬突破」には、抵抗が強まるでしょう。
10月に入って新聞は「景気回復、鈍い動き、日銀短観」、「円安を経済再生相が懸念」、「米国経済が順調に拡大しており、自然なことだと、日銀総裁が円安容認をくりかえしている。これが円安を加速」(いずれも読売)などと、指摘しています。安倍政権に親近感をもっているはずの読売が、日銀総裁を批判するようになっています。消費増税の延期が本音なのでしょうか。安倍政権の柱である消費増税、それを財源にした財政再建を先送りするとなると、今後のシナリオをどう書き換えるのか、アベノミクスは試練に直面しますね。
異次元の金融緩和には、もともと難問がありました。「世界のマネー市場は通貨が供給過剰、つまり洪水状態になっており、それがバブルを生成し、バブルが崩壊すると、デフレをもたらす。それなのに、さらに集中豪雨のような異次元緩和をしたらどうなるのか」、「マネーの世界はつながっており、日本だけを対象とした金融政策は成功しない。金利ゼロの円資金でドルを買えばもうかる。急激な円安の一因となり、日本を苦しめることになるのではないか」、などです。アベノミクスの理論的支柱である異次元緩和の結末が、アベノミクスの評価を左右するのです。安倍政権はこのままでは手詰まりになるとみて、地方創生、女性活用など、目先を変えだしているような気がいたします。(おわり)
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