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2014-09-16 00:00
アメリカの深い闇
川上 高司
拓殖大学教授
8月9日、ミズーリ州の街ファーガソンで18才の黒人少年マイケル・ブラウンが白人の警察官に射殺された。この発砲に対して市民は強く反発し日曜日には暴動が発生した。暴動に対して警察は武装車両や催涙弾など強硬な態度で臨んだため市民の怒りはエスカレートし、非常事態宣言が出され夜間の外出が禁止となった。それでも市民の暴動は収まらず、ジェイ・ニクソン州知事は州兵の出動を決定、ファーガソンは不穏な空気に包まれている。
2008年、アメリカでは黒人大統領が選出されて人種の壁を乗り越えたとだれもが感じた。それが白人警官によって黒人が射殺されると暴動が起こっている。その現実にオバマ大統領はデモ隊に対して「良識あるデモを行って欲しい。暴力ではなにも解決しない」と訴え、州知事にも穏やかに対処するように求めなくてはならなくなっている。
マイケル・ブラウンの遺族は警察当局の検視を信用せず独自に検視を依頼した。一方でオバマ大統領は司法省に検視を実施するよう指示し、早急な真相の解明を要求した。遺族の依頼した検視によれば、マイケル・ブラウンは6発の弾を受けそのうち2発は頭部である。特に頭頂部の被弾が致命傷であるとの結果が出た。この頭頂部への被弾は「180センチを超えるマイケルがいったいどういう姿勢をとれば頭頂部に弾が当たるのか。答えは明白だ」と、遺族側の疑惑と怒りを増長させている。
ピュー・リサーチ・センターの世論調査によれば、マイケル・ブラウン射殺事件は「重大だ」と深刻に受けて止めている黒人は80%に達するが、白人では37%しか深刻に捉えていない。また76%の黒人が捜査を信頼していない。捜査を信頼しない白人は33%程度である。オバマ大統領は感情を抑えて「アメリカ市民として、今度こそ人種の壁を共に乗り越えよう」と国民に訴えた。アメリカにはまだ深くて暗い人種の溝が横たわることを改めて思い知らされる。
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