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2006-12-14 00:00
注目すべきASEAN憲章修正の動き
小笠原高雪
山梨学院大学教授
12月9日から予定されていた一連のASEAN関連会議(ASEAN首脳会議、東アジア・サミットなど)の延期は日本でも大きく報道された。東アジア・サミットには安部首相も出席する予定であったし、日本はASEAN+3に豪印などを加えた16カ国経済連携を提案する予定であったのだから、突然の延期が失望を招いたのは不思議ではない。
しかし、今回の会議でもう一つ注目されていたのは、ASEAN憲章をめぐるASEAN首脳会議の議論であった。ASEANはこれまで、内政不干渉と全会一致を事実上の組織原則としてきたが、これを大胆に修正する憲章づくりの指針案が内部の有識者会議で検討されていた。もし、そうした内容の指針案が採択されれば、ASEANは民主化に対する基本姿勢を転換することになったであろうし、ASEANのそのような転換はASEAN自身のみならず、東アジア地域協力の方向に対しても小さくない意味をもったであろう。
もっとも、有識者会議の指針案に対しては、一部の加盟国政府の間に強い異論があったようだし、一連の会議に先立って開かれた高級事務レベル会合は結論を先送りしたと伝えられる。このような状況では、首脳会議が予定どおり開かれたとしても、ASEAN憲章を指針案に沿って起草してゆく合意が成立したかどうかは疑わしい。その意味では、会議の延期は必ずしも悪いことではなかったかもしれないが、それでも機運をそがれた感は否めない。
一連の会議は来年の1月に改めて開催されることになっているが、そのときまでに、この問題をめぐるASEAN内の議論はどのように進んでいるであろうか。
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