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2014-08-14 00:00
(連載2)従軍慰安婦をめぐる朝日の罪と戦争の罪
中村 仁
元全国紙記者
国際的に波紋を呼び、日韓関係をこじらせた問題ですから、朝日新聞は、今回の記事を少なくとも英語に翻訳し、自社のホームページに掲載すべきでしょう。朝日が舌鋒鋭く批判する企業等の不祥事では、企業は自社のホームページに調査概要、謝罪などを載せていますよね。朝日は、これからでもよいので、やってほしいですね。
朝日が潔くないのは、他新聞社を道連れにしようとしていることです。朝日は他社の慰安婦問題の報道の不備を指摘し、「他紙も吉田証言を報道した時期があった」などと、釈明しています。また、「女子挺身隊などの名で前線に動員され、慰安所などで日本軍人相手に売春をさせられた」、「朝鮮人女性を挺身隊の名で強制連行した。その数は8万とも20万ともいわれた」(いずれも1991年)の記事については、「両者を混同した」とし、「他新聞にも同じような例がみられた」といいます。しかし、他紙のことは他紙に任せておけばいいのです。
もうひとつ、朝日が「ずるいな」と思うのは、「強制連行」と「強制性」を混同させようとしていることです。「強制連行がなくても、強制性はあり、女性の尊厳が傷つけられた」が、朝日の理屈です。日本軍が組織的かつ直接的に慰安婦を募集、動員し、施設の開設にまで関与したのなら、それこそ「強制連行」でしょう。「強制性」は、「本人の意思に反して慰安所にとどまることを物理的に強いる場合は、強制があったとみる」ということです。国家間の外交交渉、賠償問題に発展した場合は、「強制連行」と「強制性」における国家の責任の程度はまるで違ってきます。報道においても、この二つは明確に区別しなければなりません。
しばらく朝日批判が続くでしょう。石破自民党幹事長の「関係者の国会招致を含め、報道内容を検証する」との発言はどう考えるべきでしょうか。これは報道の自由に対する勇み足ですね。朝日関係者を呼んでも、国会には出向きませんし、呼ぶべきでもありません。報道内容の検証は、報道機関の責任であり、それとこのことを混同してはいけません。国会が検証、反省すべきだとすれば、日本政府の慰安婦問題への態度が適正であったかどうか、歴代首相、官房長官らの談話が事実に則って適切であったかどうか、です。朝日批判ばかりに没頭せず、「慰安婦と戦場における性」、「戦時下における女性の人権」、「それに関する国家の罪、戦争の罪」をどう考えてきたのか、どう考えていくかが問題なのでしょう。(おわり)
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