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2014-07-22 00:00
(連載2)マレーシア機はなぜ危険空域を飛んだのか
中村 仁
元全国紙記者
民間航空機がミサイルで撃墜され、「悲痛きわまる惨事だ。民間機への攻撃を断じて許さない」(7月19日の朝日社説)、「大惨事が起きた。ロシア軍の関与が疑われる」(同日の読売社説)という状況ですから、マレーシア側の油断を解明することには遠慮があるのかもしれません。オバマ米大統領のプーチン氏への怒りは「世界的な悲劇だ。この暴挙に関与したものに責任を取らせる」と、頂点に達しています。メディアはこうした国際的な動きを追いかけるのに必死です。この事故をめぐり、事態に関する報道は「現場調査の立ち入り」、「武装集団、監視団を妨害」、「ミサイル、ロシアに移動か」、「親ロ派、機体持ち去り」、「ロシアからのミサイル搬入の映像証拠」と展開しています。米国は一気にロシアを追い詰める絶好の機会がきたと思っているでしょう。メディアはここで一歩、退いて、危機の本質に迫るセンスが必要です。
米欧は、結束してロシアを糾弾していかなければならないのは当然です。これは政府にしかできない行動です。一方、メディアにはメディアの仕事があります。「マレーシア当局は不測の事態に備えた危機管理をしてきたのか」、「マレーシア航空はなぜ自主的にでも、危険空域を回避するという判断をしなかったのか」、「この空域を飛ぶほかの航空会社はどのような行動をとっているのか」、などを調査し、報道しなければなりません。その努力がまったく足りないのではないですか。
「マレーシア航空、また打撃、撃墜事件で拍車か」(19日の読売経済面)という記事を読みました。格安航空会社との競争激化などで、赤字体質から脱却できないうえ、今回の事故が起き、経営危機が深刻化するとの見方です。そうした指摘もいいでしょう。もっと大切なことは、燃料費節約のために、危険なルートを飛んだのか否かです。ここが肝心です。
ロシア、ウクライナに限らず、各地で国際情勢が不安定になり、何がおきるか予測しがたい時代ですから、民間企業は自らを自らの手で守る自衛の意識を高め、用心深く対応策をとらねばなりません。あとでロシアや親ロシア派を責めたてても、失われた乗客、乗員の生命は戻ってこないのです。もっとマレーシア側の責任も追及する声が起きてもいいと思いますね。自衛という意味を掘り下げるときです。(おわり)
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