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2014-07-18 00:00
9月の改造は菅官房長官留任の線
杉浦 正章
政治評論家
生活の党代表の小沢一郎が久しぶりに吠えた。安倍内閣について「ピークは過ぎた」と述べたのだ。しかし続きがあって「高い支持率が不思議だ」と付け加えた。小沢ほどの政治家が支持率の高さを分析できないのは、本人もピークが過ぎたからだろうか。内閣支持率が50%前後と高いのは、中韓両国トップの安倍批判に国民が反発しているからだ。同時に、アベノミクスの成功で景気が好転、有効求人倍率が22年ぶりに1.09という高水準に達していることだ。民主党政権時代から一転して、人手不足だ。加えて第1次安倍内閣では次から次に5人もの閣僚が舌禍や不祥事で辞めたが、今回は1人として辞任がない。まさに順風満帆だが、ジレンマがある。それは内閣が改造適齢期に達したことだ。自民党内では衆参両院で、うずうずしている改造待望組議員が59人に達している。衆院で当選5回、参院で当選3回以上の議員たちだ。在野の3年間に加えて、9月改造だと約2年で合計5年近くも待たされている議員が多い。病膏肓(やまいこうこう)に入った大臣病患者を何とかしないと、“反乱”がおきかねないのだ。これまでの改造なし記録の最長は、官房長官だけを交代させて池田内閣を居抜きで引き継いだ第1次佐藤内閣の425日であった。それを大幅に超えたのだから慎重であった官房長官・菅義偉も7月17日、内閣改造の時期に関してようやく「9月は(自民)党役員人事だ。そういうことも視野に入れながら首相は考えるのだろう」と述べるに到った。9月改造である。
恐らく首相・安倍晋三は内閣情報調査室に命じて、入閣候補議員らに不祥事がないかチェックする段階に入っているものとみられる。過去にチェックがずさんで改造早々辞任の例が頻発しており、つまずきはどうしても避けなければならない。そこで改造の規模がどうなるかだが、大幅改造にならざるを得まい。現内閣は派閥の領袖を多く取り込んでいるが、盟友麻生太郎は別として、法相・谷垣禎一、外相・岸田文雄、環境相・石原伸晃らは引いてもらって、派内の入閣を優先させることになろう。舌禍の石原も講演で、「私もそろそろ(大臣の)卒業が近づいてきた」と観念しているようだ。同派では衆院当選6回の平沢勝栄あたりが、入閣候補だ。
焦点は副総理・麻生、菅、幹事長・石破茂を動かすかどうかだ。このうち菅は、首相と呼吸の乱れが全くなく、歴代官房長官と比べても見事なサポートをしており、留任は動かないものとみられる。一部に石破を入閣させた場合の幹事長候補という説があるが、安倍にとっては菅を手放すことの方が危険性が大きい。問題は麻生と石破だ。麻生については安倍政権作りに貢献が大きく、留任となっても不思議はない。しかし、それを可能とするかどうかは、消費税再引き上げと密接に絡むものとみられる。引き上げるかどうかは「7-9月期のGDPなどの指標を見て冷静に判断する」(菅)としているが、10%への再引き上げは、アベノミクスを直撃する可能性が高い。恐らく安倍は、1内閣で2度も増税することにためらいがあるのだろう。引き上げを先送りするには法改正と財務省説得が必要だが、麻生がどう出るかだ。麻生が財務省を抑えられるか、それとも先頭きって再増税を主張するかだ。安倍は麻生の意向を質した上で、留任かどうかを決めることになるかも知れない。
石破の場合も、処遇が難しい。安倍にしてみれば、来年の自民党総裁選で最大のライバルになりかねないのが石破だ。石破周辺には総裁選を意識して「今回は無役の方がいい」とする声がある。野に下って多数派工作に専念した方がいいというのだ。たしかに石破が野に下れば、トラを野に放つことと等しいかも知れない。石破は、総裁谷垣に政調会長を外されたときに、徹底的に地方を行脚して、党員と肌で接した。これが一昨年の総裁選で地方党員を味方に引き寄せ、党員の支持でトップに立つ要因になったのだ。従って安倍にしてみれば、選択肢は入閣か幹事長留任しかないということだろう。首相周辺には新設の「安全保障法制担当相」に任命して、通常国会での集団的自衛権関連法案の処理に当たらせる考えがあるが、幹事長経験者を据えるにはポストが小さすぎるきらいがある。安倍が将来の石破への禅譲路線を敷くとすれば、外相か、財務相のポストを経験させるだろう。重要ポストで閣内に取り込めば、総裁選で動きにくいのも確かだ。過去には外相・三木武夫が佐藤栄作の3選に盾を突いたことがあるが、例外だ。重要ポストでの入閣がないなら、幹事長留任だろう。しかし幹事長留任では、党内的に石破の力がつきすぎることも確かだ。安倍の判断は石破の処遇が最大の問題である。
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