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2014-07-14 00:00
(連載1)問われる政治とメディアの関係
尾形 宣夫
ジャーナリスト
これは「フライデー事件」と言ってもいいかもしれない。今月11日発売の写真週刊誌「フライデー」が取り上げている。3日放映のNHKテレビの「クローズアップ現代」に出演した菅義偉官房長官と国谷裕子キャスターの集団的自衛権行使に関するやり取りが、首相官邸を〝激怒〟させたというから穏やかでない。表紙のトップ記事の見出しがおどろおどろしい。「安倍官邸がNHKを〝土下座〟させた一部始終、国谷キャスターは涙した」とある。同誌をめくると、「番組の中で集団的自衛権行使について突っ込まれた官房長官側が番組終了後激怒し、慌てた籾井勝人会長が謝り、NHK上層部は右往左往した」という。騒ぎはフライデー発売当日の菅官房官の午前の定例会見で早速取り上げられたほどだから、並みの「週刊誌ネタ」とは訳が違う。
菅氏は会見で、「番組収録でキャスターが事前の打ち合わせと異なる質問を繰り返したため、首相官邸側がクレームを付けた」と報じられたことについて、「事実と全く違う。ひどい記事だ」と全面否定したが、同誌と発行元の講談社に抗議するかどうかについては、「効果があるかを含めて考えたい」と述べるにとどめている。
この報道を見て私がすぐ思い出したのは、防衛省が今年2月、石垣市への自衛隊配備計画を報じた沖縄の地元紙「琉球新報」の記事に、「事実と異なる」と訂正申入れをした問題である。問題の記事は、同月23日付けの同紙1面トップに掲載された「陸上自衛隊の沖縄・石垣配備計画」。これに対して防衛省は、翌日付で同紙に「事実と異なる」と訂正を申し入れ、併せて同社が加盟する日本新聞協会にも文書を送り、「慎重かつ適切な報道を強く要望する」と求めた。琉球新報社は防衛省の抗議に「十分な取材に基づいた報道で、訂正の求めには応じられない」と強く反発し、申し入れを拒否した。また日本新聞協会も「申し入れを受け入れる立場にない」と回答した。政府が口頭で報道内容に抗議することはままあるが、文書で即時訂正を申し入れることは、聞いたことがない。
首相官邸の不興を買って上を下への大騒ぎとなったとされるNHKはどうかと言えば、「NHKは放送法に基づいて公平、公正、不偏不党の原則を守っている」とするだけだ。大騒ぎしなかったのなら、そう言えばいいだけの話なのだが、何か物言えぬ事情でもあるのだろうか。NHKが口を塞いでいる以上、現状ではこれ以上の真相を知る由はないが、本当のところはどうなのか。秘密保護法施行を前に、政治とメディアの関係が問われているだけに、問題を放置することは適切ではない。(つづく)
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