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2006-11-29 00:00
「グローバル・パートナー」提案を歓迎す
佐島 直子
専修大学経済学部助教授
米国務省のバーンズ次官は、11月21日、翌週ラトビアの首都リガで開催される北大西洋条約機構(NATO)首脳会議で、日本、韓国、オーストラリア、スウェーデン及びフィンランドの五ヶ国を「グローバル・パートナー」として新たな協力国グループを組織し、共同訓練などの活用を強化する提案を行うことを明らかにした(『朝日新聞』2006年11月22日夕刊)。
冷戦下、対共産圏同盟として有効に機能したNATOは、冷戦後、その役割を模索して迷走をつづけてきたが、9.11同時多発テロ後の戦略環境の変化を受け、地球規模で拡張する「新たな脅威」に対抗する安全保障機構への脱皮を急いでいる。同提案は、それを目的とした制度改革の一環であり、首脳会議で承認される見通しである。
実際のところ、冷戦後の明確な敵対関係の消滅した世界で、世界の平和と安定を主導してきたのは、冷戦に勝利した西側主要国である。すなわち、非現実的な「国連中心主義」や台頭する「地域主義」を横目に、適時適様な安全保障上の国際的協力関係の中心となったのは、「自由と民主主義」を共通の価値観とする先進国グループであって、中国やロシアではない。NATOや今回「グローバル・パートナー」となる五ヶ国が関係を強化、制度化し、戦略的な対話を定例化することは当然の帰結である。筆者自身、NATOと日韓豪などとの安全保障関係の重要性を数年来主張してきた。国際安全保障上現実的な価値を持つ情報の共有化や、軍事作戦に関する意見交換、明確な意図を持った共同訓練など、その発展を期待したい。
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