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2014-07-07 00:00
(連載2)STAP細胞 残酷すぎる実験参加
中村 仁
元全国紙記者
目的はなんでしょうか。「ここまで厳重な監視のもとで、実験をやらせれば、本人は音を上げるだろう」のが読みでしょう。最後は、「自分は不正をしていました。新細胞は存在しません。途中で別の万能細胞であるES細胞を混入させました」と言わせ、「新細胞の正体はES細胞だ」との結論を導きたいのでしょうね。理研の対応があまりにも遅く、拙劣でしたから、こんな拷問まがいの手法にたどりつくしかなかったのでしょうか。残酷です。
彼女以上に責任が重いのは、直属の上司である副センター長の笹井芳樹氏(52)でしょうね。これまで報じられた記事を読みますと、「36歳で京大医学部の教授に就任したエリート。万能細胞のひとつであるES細胞で次々に成果をあげた。再生医療研究の先頭を走ってきた。06年に山中伸弥・京大教授(51)がiPS細胞の作製に成功して、ノーベル賞を受賞。立場は逆転した」ということになります。科学者の世界に渦巻く競争意識、嫉妬心があるようですね。その逆転をSTAP細胞にかけているうちに、功をあせり、不都合なことが目に入らなくなったのでしょう。この世界に限らず、ありがちなことです。
理研の体質改革、不正研究が起きた経緯の解明、再発防止策などについて、外部委員会が6月に提言を発表し、笹井氏を含む4人の辞任を促しました。笹井氏は「理研の処分に従う」といっています。ここまで糾弾されれば、普通なら、名指しされた人たちは、処分の決定を待たずに、自発的に辞任すべきでした。その際、「新細胞が存在する証拠はやはりなかった」との声明でも読み上げるべきだったでしょう。笹井氏は能力が高い科学者のようですから、辞職後、新しい職場を求め、名誉挽回を目指せばいいのです。
目はうつろ、夢遊病者のような女性研究者の姿は見るに見かねます。はじめはこの人物がもっとも問題であるように思いました。どうやら彼女は犠牲者だったようですね。上司が反省し、早く辞職していれば、彼女はもっと早く真実を語る心境になり、こんなに苦しまなくてもすんでいるのかもしれません。(おわり)
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