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2014-07-03 00:00
(連載2)日本の安全保障感覚は、世界の非常識、孤児
中村 仁
元全国紙記者
朝日は社説で「できないと繰り返してきたことを、できることにする。まごうことなき解釈改憲だ」と決め付けています。その通りでしょう。次の問題は「解釈改憲だからいけないのか」どうかです。朝日は「憲法の基本原理である平和主義の根幹を曲げてしまった。日本の政治にとって極めて危険な前例となる」とし、いけない決定だと指摘しています。これはどうでしょうか。戦後の「一国平和主義」の幻想をいまだに抱いています。この点では、読売の「米国など国際社会との連携を強化し、日本の平和と安全を確かなものにするうえで、歴史的な意義がある」との主張が素直で、正確だと思います。
もうひとつの大きな違いは、集団的自衛権の行使の範囲です。閣議決定文には「受動的かつ限定的な必要最小限の武器の使用を自衛隊が行える」とあり、読売は本記でも社説でも「必要最小限の実力行使」、「限定的容認」と、素直に書いています。
それに対し、朝日は肝心の1面本記に読売のような表現は見当たりません。社説は「この暴挙を超えて」と怒り、「極端な解釈改憲」「権力を縛る憲法がその本質を失う」と指摘しています。まるで全面的に集団的自衛権の行使がなされ、暗黒の時代に入るとの認識なのでしょうか。「限定的か否か」は重要な境界線です。「邦人輸送中の米輸送艦の防護」、「武力攻撃を受けている米艦の防護」など8つの事例を挙げ、これらが今後ができるようになると、政府は説明しています。
ここで世論調査を振り返りましょう。朝日、毎日では「集団的自衛権の行使に反対」が50%を超え、読売では逆に支持が60%に達しました。なぜ世論は二分されたのでしょうか。読売は「邦人輸送の米艦防護」など具体的な事例を挙げて「どうですか」と賛否を聞き、さらに「必要最小限の行使」への賛否という順番で聞きます。すると「それならいいのではないの」という人は多いでしょうね。朝日はいきなり「限定的」、「必要最小限」という文言もなく、「集団的自衛権の行使」への賛否」を聞いていますから、さらに「分らない」という項目を設けていませんから、反対が多くなるのでしょう。はじめから、そう仕組んでいるのです。(つづく)
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