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2006-11-28 00:00
北朝鮮の核と日本の防衛
左近允 尚敏
元海軍士官、海上自衛官
北朝鮮のミサイルに続く核の実験で日本は経済制裁に踏み切ったが、数年後には出現すると予想される核ミサイルの防衛についての議論はほとんど目にしない。核論議の可否が議論されているが、(1)日本が核ミサイルを持てば、隣国の核に対する脅威感はほとんどなくなり、これらの隣国から軽侮されることもなくなるであろう。しかしながら、(2)旧来の政策と国民感情から核武装の可能性は全くない。万一核武装に踏み出したならば、アメリカは断固阻止するであろう、ということが言えよう。
付言するが、報道によれば先般のAPECの際、中国の胡主席は安倍総理に対し、日本の核論議に懸念を表明した。安倍総理がどう応じたかは分からないが、戦略核まで保有する中国が「よく言うわ」と言いたい。アメリカも北の核を懸念していると言われればそのとおりだが、現実に存在する核と核について議論することを同じに見てもらっては困る。話は逆であって、日本が中国の核を懸念していることを中国に言わなければならない。
日本は北朝鮮の核ミサイルに対する防衛策としてペトリオットの改良型(PAC3)を導入するが、これは「点」の防衛であり、イージス艦のシステムを改良する海上広域ミサイル防衛はまだ先のことである。その上に、全ミサイルの撃墜は困難と予想される。自衛隊が発足して50年を越えたが、不思議なのは「隣国の皆さんは、どうぞ日本に脅威となる攻撃兵器をお持ち下さい。しかし、日本は皆さんに脅威となるような攻撃兵器は決して持ちません」という「専守防衛」を依然として「金科玉条」としており、だれも異を唱えないことである。日本を敵視し、あるいは敵視する可能性のある隣国にとって、これほどありがたい話はあるまい。
「専守防衛」、つまり防御一点張りでは日本の防衛を全うすることはできない。自衛隊にある程度の抑止力となる攻撃兵器を持たせるべきである。具体的には潜水艦とイージス護衛艦に通常弾頭のトマホークミサイルを、Fー2戦闘機にある程度の射程を持つ対地攻撃用ミサイルか精密誘導弾を持たせることが適当であろう。憲法の前文には「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して」とあるが、世界は平和を愛する諸国だけで成り立っていないことを、私たちは十分に認識したはずである。
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