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2014-06-10 00:00
(連載1)安全保障ー議論と現場感覚
緒方 林太郎
前衆議院議員
私が外務省時代に「優秀なんだけど、どうしても親近感を覚えない」というカテゴリーの方がいました。それは「(結構厳し目の)途上国の経験がない」方です。最近、エース級の方にそういう人が増えているのではないかというのが気になります。特に私自身が西アフリカのセネガルを2年経験したことから、そう思います。フランスで研修した後、私は積極的にセネガルに手を挙げました。理由は「研修後、すぐに日本に戻るのはもったいない」というのと「若い内(当時24歳)にアフリカ在勤するのはきっと良い経験があるに違いない」と思ったからです。外務公務員採用一種試験による採用同期で、在外研修後に途上国に行ったのは本当に少数でした。その中でも、外務省内部に存在する、勤務地の「厳しさ度合いの指標」で一番高い場所でした。
実際には、セネガルはそれ程厳しい途上国という感じではありませんでしたが、それでも私はマラリアにやられましたし(笑)、先進国勤務では経験しないことをたくさん経験しました。その中の一つに「結構、紛争地に近い所にいた」というのがあります。隣国のギニア・ビサオという国でクーデターがあった後、私はセネガル南部に出張したことがあります。ギニア・ビサオとの国境近くで、難民、避難民のリアルな現場を目の当たりにしました。身体の一部が欠損した人は稀ではありませんでした。その他にも、隣国マリに出張した際は、数年前に起こったクーデター時のえげつない写真を見せられて、当時の事をかなり詳細に聞かされたことがあります(それらの写真は、普通であれば「こんなものを写真に撮るようなものではない」と思える類のものです。写真だけで食事が喉を通らなくなりました。普通に外務官僚をやっていたら絶対に見ないものです)。
その他にも、とても限られていますけども色々と紛争に関する経験をしましたが、結論は「戦争にカッコ良い要素など一つもない。人間の極限状態であり、何でもありの世界。そして、苦しむのは無辜の市民であり、(幹部でない)兵である」ということです。最近読んだ(ソ連による)アフガン戦争に関する本で引用されていた、ソ連兵が書いた手記に「By no means everything that happened to me during the two years I was in Afghanistan is set down here. Some things I did not want to describe. We Afgantsy talk among ourselves about things which those who were not in Afghanistan may not understand, or will understand in the wrong way.」というくだりがありました。簡単に言うと「経験したこと全部は書けない。当時の事をアフガン兵の仲間内で話すけど、その内容は部外者には理解できない」という感じです。おぞましい経験をしたことを窺わせます。
アメリカの退役軍人でも、イラク・アフガン帰還兵には心を病んでしまう人が多いとか、自殺者の割合が高いとかいった報告が出ています。あまり報道されませんが、アメリカの退役軍人庁はアフガン・イラク帰還兵の心のケア問題には苦労しています。(話が逸れますが、最近辞任したエリック・シンセキ退役軍人庁長官は詰め腹を切らされたようで同情します。日系閣僚というところを抜きにして)。 (つづく)
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