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2014-05-01 00:00
(連載1)ロシアは孫子の兵法で見事に勝利
袴田 茂樹
日本国際フォーラム評議員
クリミアがロシアに併合され、4月17日のジュネーブでの4者合意も空文化し、ウクライナの東部、南部で危機が続いている。その根本的な原因は2つある。第1は、不思議なことにあまり論じられていないが、ウクライナ軍がまったく無力だったことだ。たとえ10万人でも、優れた装備と訓練を有する士気の高いウクライナ軍が存在していたなら、クリミア併合もウクライナ東・南部の混乱もありえなかった。第2は、ロシアが国際法を破り、力によってNATOと協力関係にある国の領土を併合しているのに対し、欧米諸国やNATOが、それを言葉で非難し実効性の疑わしい制裁を課すだけで、実際にロシアの行動を抑制する力も強い意思も有していないことだ。
これらは共に、主権に対する国家の強い意志とか伝統的な防衛力を軽視してきたポスト・モダニズム的な楽天主義の結果でもある。これに対し、ロシアや中国は、欧米とは全く異なる考えで安全保障を考え軍事力を一貫して強化してきた。ロシアによる国際法を侵したクリミア併合に対して、欧米も国連や国際機関もなす術がなく、事実上黙認しつつある。このことは、隣国と領土問題、歴史問題で揉めているわが国にとって、深刻な事態である。力によるクリミア併合などに関して、ロシア側の対応や見解を理解するため、プーチン発言やロシア専門家の見解を紹介したい。
クリミアでの親露派の地方政府の樹立、その政府が実施した住民投票、続いてのロシアへの併合が、「自警団」なる武装組織の統制下に行われたこと、その「自警団」の中心にロシアの特殊部隊が存在していたことは周知の事実だ。当初ロシアは、ロシア軍の関与を否定した。しかし、4月17日にプーチン大統領は国民との対話で、ロシア軍の介入の下にクリミアの住民投票が行われたことを公然と認めた。
翌18日にロシア紙は、軍事専門家の驚くほど率直な見解を掲載した。ロシア軍はクリミアで西側諜報機関の油断に乗じて孫子の兵法を完璧に実行し、戦わずして見事な勝利を収めた、というものだ。しかもこの論者は、今日の世界においても国際法ではなく軍事力こそが決定的な意味をもっており、対話や交渉、ソフトパワー重視の欧米やNATOは、ウクライナ事件で完全なる無力を露呈したと勝ち誇っている。そして、軍事力の削減はウクライナのように、結果的に高くつくとして、ロシアは今後もいっそう軍事力を整備・強化するべきだ、と論じている。ロシア側の発想を知るために、まず、プーチンの4月17日のクリミア関連発言を以下に紹介する。(つづく)
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