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2014-04-15 00:00
(連載2)複眼的に考えるべきエネルギー政策
中村 仁
元全国紙記者
わたしがエネルギー多神教というのは、複数の視点からエネルギー政策を考えていかなければならないという勧めです。エネルギー源の多様性としては、火力(石油、天然ガス、石炭)、原発、水力、太陽光、風力などの組み合わせです。それぞれに重要な長所、短所があり、補完しあわねばなりません。今、火力が電源の9割を占めているのは異常で、温暖化対策に逆行します。再生エネルギーの比率を2割に引き上げるには、太陽光だけなら東京・山手線内の10倍の用地が必要です。風力なら2万基がいるという試算もあります。 もっと全体的な多様な視点としては、国際情勢(エネルギーの安全保障、安定供給)、自給率の引き上げ、経済成長との関係、貿易赤字(対外的な支払い)の抑制、国内の経済、産業活動への影響、環境への影響、省エネルギー政策の効果と限界などいろいろあります。
ここで新聞論調をのぞいて見ましょう。朝日新聞は社説で「これがメッセージか」という題で「もう原発に依存できないことは電力会社も分っているはずだ。原発は巨大事故のリスクからまぬかれない。この計画は安倍政権が続ける焦点外し戦略である」といいます。毎日新聞は「これは計画に値しない。原発など電源別の数値目標は盛り込まれていない」と指摘しています。かりに数値を盛り込んでいたら、根拠のない無責任な数値だ、批判していたことでしょう。いっそのことこうしたらどうでしょうか。「原発はゼロにする。こうすれば、経済、産業活動をやっていける。コストも適正水準である」という提言案をだしたらどうでしょうか。政府計画を論評するのではなく、自分たちの構想を議論してもらったらどうでしょうか。
読売新聞は「原発活用は現実的な戦略だ。正常化する大きな一歩である。再稼動も明記した」と評価しています。気になる点はあります。昨年10月の社説では「貿易赤字の主因は、火力発電所向けの燃料輸入の急増にある」と、書きました。今回は「追加燃料費は年3・6兆円にのぼり、巨額な国富流出が続く」と、表現が変わっています。朝日は「国富流出との言いぶりには、各方面から疑問の声があがっている」と、ポイントをついています。
貿易赤字の長期にわたる拡大をめぐり、大きな議論が始まりつつあります。貿易赤字は、円安による輸入代金の増大、円安下でも伸び悩む輸出などによるのであり、燃料の数量は節約により減り気味との分析がみられるようになりました。貿易赤字と原発停止の関係について、客観的、中立的に検証すべき時でしょうね。(おわり)
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