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2014-04-04 00:00
(連載1)無極化時代の外交・日本も熟考すべし
中村 仁
元全国紙記者
ウクライナ情勢をめぐり、ロシアと欧米の緊迫した駆け引きが連日、報道されています。日本は当然、欧米寄りの態度をとっているものの、北方領土返還問題、ロシアとの資源開発計画を抱え、日ロ関係をこじらせたくないと思っている安倍政権は「困った事態になった」というところでしょう。日本としても、かりに中国が尖閣諸島の帰属をめぐり実力行使にでてきたら、どう対応するのか、欧米はどんな支援をしてくれるのかを占う材料を提供してくれています。日本が欧米に同調し、ロシアが怒って、北方領土問題は白紙にするぞと脅しをかけてきたらどうするのか、というように、ウクライナ情勢は日本の外交、安全保障に直結してきます。
日本のメディアはウクライナに対するロシアの動き、クリミア自治共和国の動静、欧米の対ロ非難などは詳しく伝えています。問題は、日本にとってどういうことになるのか、どのような意味を持つのかなのに、肝心な点は、ほとんど掘り下げていません。社説では、こういう問題こそ書き込んでほしいのに残念ですね。世界は無極化時代に入り、自分自身で外交、安全保障を考えていかなければならないというのに、どうしたのでしょうか。欧米も頭を抱えています。
ロシアは明らかに軍事力を行使しました。クリミア半島を勢力下に置き、ロシアへの編入も時間の問題となっています。欧米は軍事力を行使することは避け、経済制裁、および国連などでのロシア批判という言論戦で戦っています。軍事力の行使は流血を伴い、紛争を長期化させ、混乱を広げ、結局、何も問題を解決してくれないというケースを、いやというほど見せつけられています。シリアしかり、イラクしかりでしょう。自国の防衛には、軍事力は使わねばなりません。他国でおきている紛争解決のために支援に出かけていくとなると、どうでしょうか。まともな国ほど、軍事力を行使しても、人命とカネを失うだけだと考える時代になりました。
新聞を読んでいて驚いた記事にお目にかかりました。読売新聞のアメリカ総局長の解説コラム(3月20日)です。「力を背景とした現状変更の暴挙(ロシアによるクリミア編入のこと)を抑止するには、武力行使も辞さないという毅然とした姿勢を米国が見せる必要がある」と指摘しています。米ロの軍事対決、つまり戦争に突入したら、世界は大混乱に陥り、株価は暴落するでしょう。筆者の意図が不可解です。米国での世論調査では、「軍事選択の検討」は8%、「ウクライナ情勢に過度に関与すべきではない」が56%です。軍事力行使の限界、財政赤字の拡大による経済体質の悪化を、いやというほど体験してきたのです。(つづく)
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