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2014-03-19 00:00
(連載2)公的年金の「財政検証」について考える
鈴木 亘
学習院大学教授
ますます、粉飾ぶりが巧妙になっている。しかも、「批判されないために、簡単に計算できないように数字を示して誤魔化す」との意図が露骨に表現されており、「大丈夫、厚労省?」と、その唯我独尊ぶりに、私でさえ思わず心配してしまうほどである。いずれにせよ、我々は実質利回り1.7%という数字と、別の資料の中からこの記述を見つけて、さらに別の資料にある実質賃金利回りと物価上昇率の数字を足し合わせなければ、本当に知りたい名目運用利回りを計算できないわけである。まるで、パズルである。
では、その名目運用利回りの数字はいくらになるのかと言えば、いくつかのケースがあるが、その範囲は「3.0%~6.0%」という数字である。そして、恐らく厚労省が標準シナリオにしたい中間ケースの利回りは、4.2%である。
「いくらなんでも6.0%は酷かろう」と、専門委員会の委員たちからも批判が上がっているということなので、これは「のり代」として叩かれるための数字であり、厚労省は4.2%を採用させる目論見だと思われる。6.0%という数字があれば、4.2%ももっともらしく見えるという算段だろうが、これは前回、批判された4.1%よりもさらに高い数字である。
4.2%という数字だと、100年安心が今回も確保されるか、それよりも若干下回る程度の浅い傷で済むだろうから、抜本改革は必要ない(もしくは、基礎年金の65歳までの保険料徴収など、ほんの少しだけ手直し必要)という結論になりそうである。抜本改革はまた先送りされ、年金財政の立て直しも、世代間不公平の改善も遠のくばかりである。(おわり)
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