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2006-11-15 00:00
連載投稿(2):一党支配ノープロブレム(?)の中国
宮脇 磊介
初代内閣広報官
共産党一党支配の中国は、その特徴として意思決定の不透明さとあわせて都合のよい統計数字しか発表しないことにある。しかしながらここに挙げた数字は、いずれも中国政府や関係筋が発表したものばかりなのである。なりふりをかまっていられない、よくよくの事情があるのであろう。じつは、ほかにも本来なら公表したくはない統計を、中国政府は発表するようになっている。中国には都市戸籍と農村戸籍との二つの身分があって、農村戸籍を持つ人民は社会保障の恩恵が乏しく、上級学校への進学もままならない。都市部に職を求めて流入する者は「(農)民工」と呼ばれている。その数は一億七千万人にのぼり、うち47%が給料の欠配遅配状態にある、などの統計発表。
また、地方の党幹部、役人の腐敗や農民の土地の恣意的売却などに基因する暴動が、2004年に74,000件、昨年は87,000件との発表までなされている。2008年に開催される北京オリンピックがカウントダウンの段階に来ている。黄河の水位は年々下がり、砂漠が接近中の北京に、水や電力を日常生活に大量に使う欧米などからの観光客が百万人もやってくる。まぶしい太陽や澄んだ青空も昔話しになりかけてきた。交通渋滞は激化し、地方から北京政府へ直訴に来る人々や、いつ暴徒化しかねない民工の集落、等々、悩みは大きい筈である。
ところが、そこが共産党一党支配の中国である。ノープロブレムなのだ。先般北京で開かれた「北京オリンピックの危機管理」セミナーに参加した折にわかったことだが、交通渋滞は自動車を期間中市内に入れなければ済むだけのことだ。水はというと、近隣地域から持ってくる。電力も同様とのこと。周辺地域居住者にはその間の渇水や停電を我慢してもらう。危険な人物が蝟集している場所は、すでに取り払いが開始されている。大気汚染の元凶となっている煉瓦工場その他の工場は操業停止と移転で問題解決、といった具合。その二年後の上海万博も、それが成功裡に終了するまでは、観光客や競技関係者には快適な環境が提供されるのであろう。(つづく)
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