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2014-03-04 00:00
始まった朝日の集団的自衛権「風評化」作戦
杉浦 正章
政治評論家
秘密保護法をめぐる一部マスコミの論調は「風評」と「デマゴーグ」という言論史上まれに見る卑劣な報道を選択したが、結局デマはデマに終わった。その証拠に法案は成立しても、「警察国家」は影すら見えない。ところが今度は朝日を中心に、集団的自衛権の解釈変更をめぐって、再び「風評・デマ」戦術がとられる流れとなることが確実視される。3月3日の朝日の社説がまさにその皮切りとなるものである。今回は独断専行のキャッチフレーズ戦だ。その際たるものは「日本が攻撃されないのに交戦国になる」だ。専門家はすぐに荒唐無稽(むけい)のデマと見破るが、一般国民や創価学会婦人部レベルがすぐに「そうだったのか」と信用してしまう類いだ。政府は、秘密保護法でデマに押されっぱなしであったが、国会答弁は言うまでもなく、国民への説明も、ふんどしを締め直して理論武装する必要がある。朝日の社説は、レベルの低い論説記者が書いたと見えて、まず最初に重要ポイントの誤認がある。事実誤認を元に社説を書かれては、読者はたまらない。それは「安倍首相はいまの国会のうちに、集団的自衛権を使えるようにするつもりだ」と断定している点だ。安倍は安保法制懇の報告書を得て、夏までには憲法解釈変更を閣議決定する。しかし、これに伴う自衛隊法の改正などの法改正は、秋の臨時国会を予定している。法改正を伴わない集団的自衛権の行使はあり得ず、今国会中に使え得るようにはなり得ない。このように重要ポイントの誤認で始まる社説が風評源となってしまうのだ。
この誤認の上に社説は「デマゴーグ」作成に余念がない。解釈変更が「日本が直接攻撃されたわけではないのに、交戦国になるということだ」と断定する。これは間違いなく、TBSやテレビ朝日のコメンテーターがノーテンキにも「学習」して、真似しようとする部分である。社説子は「戦時」というものの無知を露呈した机上の空論を吐いている。「戦時」を具体的に例示すれば、北朝鮮がグアムにミサイルをぶち込んだとき。尖閣諸島や沖縄が中国艦隊に取り囲まれたときなどだ。日米両軍と敵国が一触即発で対峙する場面であり、その中で同盟国たる米軍が攻撃を受ければ、戦端が開かれたことになるのは言うまでもない。直接本土攻撃を待たずに応戦するのは同盟国としての当然の義務であり、国民を守る自衛隊の本分である。直接攻撃を受けて国民に多数の死傷者が出るまで待つ馬鹿がどこにいるかだ。「国民が死んでも、自衛隊は生き残れ」と言っているようなものだ。集団的自衛権行使の場面を想定しきれない社説だ。TBSで元官房長官・武村正義も、愚かにも「集団的自衛権の行使は日本が攻められていないのに戦争するという判断」と述べているが、今後こうした「個別的自衛権」にのみ固執したデマゴーグが反対論の中核となる。
社説は「海外で戦争はしない。それは戦争の反省から生まれた平和主義であり、憲法の基本原理の一つだ」と強調するが、海外とはどこか。政府は「地球の裏側まで米軍についていって戦争しない」と国会答弁している。海外の定義なしで、国の命運を左右する問題を説いても説得力はない。加えて社説は佳境に入る。解釈変更が「立憲政治から外れる」と断定し「時の首相の一存で改められれば、民主国家がよってたつ立憲主義は壊れてしまう」と力説するが、立憲政治の定義を知らない。この場合の立憲政治とは内閣が新たな解釈を示し、国会がそれを裏付ける法律を整備し、場合によっては司法が違憲立法審査を行うことにある。その一段階として首相が解釈改憲の判断を下すのであり、立憲主義は壊れてしまわないのだ。社説子は、北朝鮮が日本の都市を名指しでミサイル攻撃の対象に挙げ、中国の公船が領海侵犯を繰り返し、南シナ海で尖閣、沖縄を想定した上陸訓練をし、一方的に防空識別圏を設定している極東の現状を、まるで何事もないかのように無視する論理を展開している。だから机上の空論というのだ。
そして社説には、朝日がかねてから非武装中立の社会党の機関誌のようであった時代を象徴するような文言が並ぶ。いわく「集団的自衛権の容認が意味するのは9条の死文化だ」。いわく「平和主義の根幹が変わる。自衛隊員が他国民を殺し、他国民に殺される可能性が格段に高まる。いつでも集団的自衛権を使えるようにして、自衛隊を『普通の軍』にしたい。そんな理念が先走っていないか」。高らかに「感情論」を展開している。「9条の死文化」など既に自衛隊という名の軍隊を保有したときから始まっており、何ら新しいことではない。「自衛隊員が他国民を殺し、他国民に殺される可能性が格段に高まる」のはなぜか。他国が「平和主義など糞食らえ」とばかりに、日本国民をミサイルで殺傷し、領土を侵攻するからに他ならない。それとも他国の戦争準備は朝日にとって歓迎すべき事なのかと言いたい。朝日は憲法には「国民は攻撃を受けても抵抗せずに死ね」とでも書いてあるというのか。このように集団的自衛権の行使をめぐって、デマゴーグ的な論調が今後展開される事が予想される。すでに民放では始まっており、民主党顧問・藤井裕久に至っては、恥ずかしげもなくデタラメ発言を繰り返している。「集団的自衛権容認は世界を敵に回し、ヨーロッパのマスコミは許せないと言っている」そうだ。西欧諸国がよって立つ基盤となっている集団的自衛権の行使を日本だけが持ってはいけないというマスコミが存在するとは思えない。武村と共にまるで「風評生身魂(いきみたま)」だ。生身魂とは俳句で敬うべき高齢者を指し、食物などを贈ったりするが、「風評生身魂」だけは始末に負えない老害どもだ。
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