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2014-03-03 00:00
(連載3)プーチン大統領の訪日に幻想を抱くな!
袴田 茂樹
日本国際フォーラム「対露政策を考える会」座長
北方領土に対するプーチンの態度は、より柔軟になっているだろうか。残念ながら、逆だ。かつてロシアは「4島の帰属問題を解決して平和条約を締結する」ことに合意していた(1993年の東京宣言)。だからこそ日露は「国境画定委員会」をつくったのだ(1998年)。プーチン自身も2001年の「イルクーツク声明」と03年の「日露行動計画」で、東京宣言を確認している。つまり、4島の主権問題が未解決だと認めていた。しかし近年はプーチンもロシア外務省も「4島がロシア領であることは第2次大戦の結果であり、国際的にも認められている」などと平然と述べるようになった。国境線未確定という第2次大戦後の事実を一方的に変更しているのはロシアである。
わが国には、プーチンは北方領土問題では、国内の「抵抗勢力」たるロシア外務省とは異なり、もっと柔軟だという見解もある。もしそうなら、領土問題の解決は両国首脳の決断にかかっているわけだから、彼が「両国の外務省に話し合いをさせましょう」などと、他人事のように言う筈はない。残念ながら、北方領土の93%を占める国後、択捉の主権をめぐる交渉に関しては、プーチンは一切交渉の姿勢を示したことはない。そのシグナルも出していない。一貫して国後、択捉の主権交渉自体を拒否しているのだ。
わが国では、マスコミも、多くの政治家も、この現実を無視し、プーチンへの高い期待と幻想を抱いている。ただ、皮肉な見方をすれば、わが国でプーチンに対する期待値が高まることは、良いことなのかもしれない。今年の秋に彼が手ぶらで訪日しにくくなるからだ。あるいは、その時日本人は、厳しい現実を突きつけられて、目が醒めるからだ。となると、筆者も方針を変えて「現実を直視せよ」という見解ではなく、多くのマスコミ論調に同調して、プーチンへの期待を高める発言をすべきなのだろうか。
わが国はロシアに対して、経済協力も前向き、安全保障面でも米国の意向ではなく自主的に「2+2」を立ち上げた。そして、北方領土返還要求の日に、欧米の首脳が欠席する中で安倍首相はソチに飛んだ。これ以上考えられない親露的対応だ。この日本に対して、プーチンがどのような対応をするか、大いに期待しようではないか。(おわり)
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