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2014-03-02 00:00
(連載2)プーチン大統領の訪日に幻想を抱くな!
袴田 茂樹
日本国際フォーラム「対露政策を考える会」座長
エストニアとロシアの合意内容をみると、前者が全面的に譲歩して、ロシアが約2300㎢(沖縄よりやや広い)の紛争地をすべて獲得している。2007年には隣国ラトビアとも約4300㎢の領土問題の解決に合意したが、このときもラトビアが全面的に譲歩した。エストニアやラトビアが、1920年の独立後に保有していた自国領土を一方的に譲歩した理由は2つある。一つは、領土紛争の解決が両国のEU加盟の条件だったからであり、他は、ロシアが強硬姿勢で経済的圧力をかけたからだ。したがって、これらの例における「解決」とは、ロシアが相手を一方的に屈服させたというだけのことで、日本として決して評価できる対応ではない。
ロシアにとって残る領土問題は北方領土だけというのも間違いで、ロシアは依然としていくつかの国と領土紛争を抱えている。まず、グルジアとの問題がある。同国のアブハジア自治共和国と南オセチア自治州をロシアが強引に介入して「独立」させ、両地域は事実上ロシアの属領と化した。この問題ゆえに、2008年のグルジア戦争の後、両国は国交断絶状態が続いている。グルジアとの紛争も、その本質は領土問題なのである。
また、モルドバ共和国の沿ドニエストル地域は、ロシア軍が駐留してロシア領同然の状況にされているため、モルドバ政府は今日も強い抗議を続け、ロシア軍の撤退と領土の返還を求めている。さらに、カスピ海の領海と権益をめぐっても、ロシア、アゼルバイジャン、トルクメニスタン、カザフスタン、イランが対立している。南方のトルクメニスタンとアゼルバイジャンは、自国産のエネルギー輸出のための海底パイプラインを敷設しようとしているが、北方のロシアはそれに強硬に反対して、阻止している。
カスピ海の領海をめぐる緊張が高まっているため、トルクメニスタンなど各国は「カスピ海海軍」を強化するといった笑い話のような現実さえ生じている。これらは皆、プーチンのとる領土政策の結果である。(つづく)
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