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2014-02-13 00:00
(連載1)TPPでの防御ツール
緒方 林太郎
前衆議院議員
TPPの農業市場アクセス交渉で、日本が(珍しく)オーストラリアと協力して、アメリカの輸出信用を叩いています。良いアプローチだと思います。一般的に、輸出に対する補助金というのは貿易歪曲性が最も高い政策とされます。私も昔、外務省の試験勉強の時に読んだ国際貿易の本でそう学びました。比較優位の原則を根本的に覆すわけですから、たしかにそうだと思います。
これを露骨にやっていたのがEU。ガット・ウルグアイラウンドで大揉めに揉めたのは、日本ではコメでしたが、世界的にはEUの輸出補助金でした。かなりの削減をEUは約束させられましたが、それでもまだまだ残っています。今のドーハ・ラウンド交渉では、「いつ」全廃するかという方向で議論が進んでいました(が滞っています。)。ただ、EUも負けてはいませんで、アメリカの輸出に対する信用(クレジット)を攻めていました。輸出に対して、補助金を付けるのも、条件の良いクレジットを与えるのも効果としては同じでして、「市場金利よりも低いクレジットは輸出補助金」、「クレジットの返済期間を長く設ける場合も輸出補助金」といった論調で攻め立てていました。
まあ、どっちもどっちなのですが、今回、このTPPで日豪連携(というか、アメリカ以外のすべての参加国が輸出信用について反対している)は論理的に見ても良い論点なのです。時に日本が農業であれこれ言うと「単なる自国産業保護だ」と批判されることが多いのですが、この輸出補助金や輸出信用を攻め立てるのは正当な取組です(それ以外のものが正当でないと言っているわけではありません。)。
というのも、例えば、アメリカのコメ農家がコメを輸出するのに、好条件のクレジットが付いていれば、日本のコメ農家との競争条件がダイレクトに歪められます。輸出する側はバンバン輸出価格を下げるための政策を打ち放題なのに、それに対抗する日本側は関税を全廃しろというのはおかしな話です。従って、「輸出信用で補助金的効果があるものを止めない限り、関税交渉で全廃を求めるのは受け入れられない。」というのは正しいのです。(つづく)
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