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2014-02-02 00:00
(連載2)日韓、日中関係悪化の背景-日本の対露対応を考える
袴田 茂樹
日本国際フォーラム「対露政策を考える会」座長
私もメドベジェフ訪問の1週間後に、次のように公に述べた。「メドベジェフ首相の強引な行動や発言は、日本の政権は何もできないと足元を見ていたからで、無力な日本は、叩くにはきわめて好都合なのだ。ここまで見くびられている以上、7月末に玄葉外相が訪露することになっているが、当然抗議の意思を示すために、中止か延期にすべきだ。言葉の上で不快感を示しながら行動が何も伴わないと、ロシア側は喜ぶが、内心日本をますますバカにするだけである。」(「日経ビジネス・オンライン」2012年7月9日)
李明博も日本の対露政策を見て、わが国を見くびった対応をしたのである。その1月後の9月11日に、日本政府は尖閣諸島の国有化を発表した。これに対して中国が激しい反応を起こし、訪米中に習近平国家副主席(当時)は9月19日に、「日本は中国の主権と領土を侵害した。日本による国有化が領土問題を激化させた」と非難し、中国国内では反日デモや日本企業などへの暴行が各地に広まった。中国も、主権問題に関しては日本は本気でなないと見て、むしろ中国の国内問題解決のために、安易な「日本叩き」の挙に出たのだ。
誤解を避けるために言えば、私は主権問題では常に強硬姿勢を貫けと言っているのではない。私が主張したいことは、良好な外交関係を樹立するためにこそ、不快感を示す時、怒るべき時には、単なる言葉ではなく行動で明確に示すべきだと、述べているのだ。そうしないとかえって誤解を与え、その後の国家関係をより複雑化するからである。また、主権問題はその本質において、戦争と同じ次元の真剣な問題だという国際常識を日本人はもっとしっかりもつ必要がある。
日本の無為がその後の国家関係をきわめて複雑にした例を挙げておく。尖閣問題では、1992年に中国が海洋法(国内法)で、初めて尖閣を中国領だと公式に規定した。日本政府がその私有地を国有化するのとは次元の異なる暴挙だ。しかし、日本はこの時、この主権侵害を絶対に認めないとの明確な意思表示や強い抗議を何もしなかった。日本は主権問題に真剣ではなく、「主権国家としてのオーラ」をまったく発していなかったのだ。それが、その後の尖閣問題の複雑化を招いているのである。(おわり)
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