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2014-01-24 00:00
(連載3)即脱原発と実現可能性
緒方 林太郎
前衆議院議員
また、電気であれば何でもいいのであれば、それは簡単な話です。しかし、今の世の中、非常にハイクオリティの電気が求められています。101V±6Vの非常に狭いレンジで電圧を調整しています。でないと、今の非常に高度化したコンピューター社会の要請に耐え得ないのです。実はここにカネが掛かっているということが見落とされがちです。私がアフリカに住んでいる時は、よく電圧が安定せずにパソコンに悪影響がありました。あれでいいのなら簡単なのです。私はよく「電気にも品質というのがありましてね。」と話すようにしています。晴れている時、風が吹いている時には(不安定な)電気が生まれ、そうでない時には電気がない、では安定的な供給は難しいでしょう。しかも、それを貯めておくための超大型で高性能の蓄電池とそれを調整するシステムの開発も今すぐにできるとは思えません。仮に出来たとしても、それは非常に大きなコスト要因です。
最後に、今、原子力発電所が止まっていることによる燃料の追加負担は3兆円を大きく超えると言われています。これは論者によっては、省エネ等で燃料消費が下がっていることを考慮していない、実際は2兆円くらいであって、しかもその中には原油価格の高騰という外生要因があるというような論もあるようですが、それはモノをどちらから見るかの問題でして、原子力が止まっていることで発電できなかった分をそのまま価格計算することはスタンダードなやり方だと思います。その3兆を大きく超える国民負担は「その気になればやれる」的な精神論では解決できません。
非常に雑な、かつツッコミ所満載の話を書きました。「試算根拠がバラバラだ」、「水力は何処に行った」、「原子力発電所はリスクや使用済み燃料処理費用までをも計算に入れるとコスト高だ」、そんなご指摘があろうかと思います。ただ、「即脱原発はかなりのコスト増要因である」ことを否定する人は、それ程いないのではないかと思います。であれば、「即脱原発」派の方はスローガンではなくて、具体的な政策としてそれを示してほしいなと思います。具体的にこうやれば即脱原発が、国民負担のない、又は少ないかたちでやれるという具体的な絵姿を私は見たいです。しかも、消費税反対派の方と脱原発派の方は重なることが多いです。しかし、脱原発で消費税2%弱の国民負担が生じていることに何故声を挙げていただけないのか、ちょっと首を傾げます。
私はいつもこう言っています。「脱原発は北極星みたいなもの。いつも同じ場所に大事な、大事な目標として存在している。私は、北極星の方向に向けて日本は歩んでいくべきだと思う。しかし、いきなり北極星に飛びつけるわけではない。自分の能力を超えるスピードで走っていけば、必ず何処かに無理が出て倒れてしまう。自分の能力の及ぶ範囲で、一歩一歩確実に北極星の方に歩んでいけばいい。」、間違っていないと思うのですけどね。(おわり)
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