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2013-12-22 00:00
プーチン大統領の自信と自賛
飯島 一孝
ジャーナリスト
プーチン大統領は19日、恒例となった大記者会見をモスクワ市内で開き、内外の記者約1300人を相手に丁々発止とやりあった。今回が9回目ということもあり、攻める相手には反撃し、本音を聞き出そうとする質問ははぐらかした。随所で過去の実績を自慢するなど、自信たっぷりな会見となった。記者団の一番の関心は、プーチン大統領の後継者問題。記者たちはあの手この手で大統領を攻め立てた。ある記者は、「もしプーチン大統領がいなかったら、誰が大統領を務められるか、という声をよく聞く」と、政権幹部の発言を披露して持ち上げた。
プーチン大統領は「遅かれ早かれ、私はこの職を退く。私の後を誰が務めるかに無関心ではいられない」と語り、まんざらでもない様子。続けて過去の実績に触れて「私は在任中、ロシアのGDPをほぼ2倍に増やした。よく考えると、これは大変な業績だ」と自画自賛。一方、西側の記者が「石油王」と呼ばれ、新興財閥のトップに君臨しながらプーチン政権に投獄されたホドルコフスキー元ユーコス社長に言及し、「禁固の刑期を短縮するとの決定が報じられたが、この決定は大統領と裁判所の合意がなければできないことは明白」と指摘、早く釈放するよう訴えた。
大統領は「あなたは我が国の司法制度を誤解している。彼は政治家でも議員でもない。単なる経済犯罪者に過ぎない。この問題を政治問題化するのは間違いだ」と反論した。だが、会見後、記者団の質問に答え、近く恩赦の大統領令に署名すると述べた。人権政策への批判から、ソチ五輪への出席を見送る欧米の首脳が増えているためとみられる。記者がプーチン政権の独裁体制を槍玉に上げ、「あなたは19年かけてかなり厳しい権力体制を築いたが、これは独裁主義だ。現在もそれは有効だと思うか」と質問した。すると大統領は「我々は安定を保証した。これが極めて重要なことだ。この体制を独裁と呼ぶのは間違いだ。私は憲法改正をやろうと思えば簡単に出来たが、それをしなかった」と反論した。
また別の記者は「大統領の今の任期が終わると、大統領が権力に就いた時、生まれた子供が成人に達する。安定が停滞に変質する恐れがないだろうか」として、長期政権が停滞の時代を生むとの懸念について質問した。大統領は「極めて効果的な言い回しだが、根拠はない。発展にとっての絶対的条件は安定だ。そうでなければ誰が金を貯めることができるだろうか」と語り、中国の経済成長を引き合いに出して自説を繰り返した。こうしたやり取りをみると、プーチン大統領の方が記者より一枚も二枚も上手と言わざるを得ない。頭の回転の速さと長年の経験に裏打ちされた自信が成せる技とでも言うのだろうか。文字通り彼に代わる人材は当面出てこないだろうから、さらにもう1期6年、2000年の大統領就任から数えると計24年の長期政権もあり得ると言えそうだ。
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