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2013-12-14 00:00
イラク戦争に学ぶーリークがもたらした教訓
川上 高司
拓殖大学教授
アサド大統領が8月21日化学兵器を使用したーこの情報を基にオバマ大統領はシリアへの軍事攻撃を決定した。だが、その情報は根拠のないものだった。オバマ政権が都合の良い情報だけを集めて結論づけたものだった。こんな衝撃的なレポートが、アメリカの著名なジャーナリストであるセイモア・ハーシュによって発表された。
ハーシュによれば、NSA、CIA、DIAなどから集まってくる情報は、化学兵器を使用したり入手できるのはアサド政権側だけでなく、アルカイダ系の過激派組織アル・ヌスラやイラクに拠点を置くアルカイダ系過激派組織なども可能だったというものだった。さらにハーシュによればアメリカは実はシリアの貯蔵している化学兵器を常時監視していた。ちょっとでも兵器に動きがあればただちに察知して警告が出される態勢になっていた。21日の3日前から当日まで政府の化学兵器に動きはなかったことが報告されていた。だがこれらの情報はオバマ政権によって黙殺された。
ケリー長官は後になって3日前に化学兵器に動きがあったと発表し、それを政権側の化学兵器使用の根拠としたが、シリア反政府側は「では、なぜ事前に知らせてくれなかったのか。見殺しにしたのか」と猛反発をしたため、かえって窮地に追い込まれた。
まるで2003年に戻ったかのような話である。当時のブッシュ政権は、都合のいい情報だけを取り上げてイラク侵攻の根拠とした。その過ちを隠そうとした政権からアメリカのジャーナリストたちは事実を暴き出して反省を突きつけた。そして10年後の今日、アメリカ国民だけでなく世界の人々がその教訓を思い起こしてシリア攻撃に声を上げて反対した。そのおかげでオバマ大統領は新たな戦争を始めることを回避できた。イラク戦争の教訓は重いが忘れてはならない。
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