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2013-11-22 00:00
(連載)特定秘密保護法案の修正協議(1)
緒方 林太郎
前衆議院議員
特定秘密保護法案の審議を見ていて、感じるのは「政権は基本的に譲歩する意図なし」ということです。担当大臣の答弁を聞いていると、あまりの不安定さにこちらが心配になってしまいます。民主党政権時代にも結構いましたが、ああいう大臣は見ていて可哀相になります。何が一番問題かと言えば、何が特定秘密なのかの外縁が分かりにくいということで、その証拠に今でも「○○は特定秘密か」という質疑がなされています。そういうクイズ形式の質問は私は嫌いですが、ただ、そういう質問がたくさん出てくること自体の意味は考えるべきです。これまでに、私が感じ取った政権の意図は「出来るだけ、特定秘密は広く引っ掛けたいし、そこには解釈の余地を残しておきたい。」ということです。何度も繰り返しますが、私は日本に秘密法制を充実させるべきだという考えの人間ですが、その一方で知る権利、表現の自由、報道の自由に対する思いも深いです。外縁が不透明なことで何が一番ダメかというと、「萎縮効果が働く」ことです。
(余談ですが、個人情報保護法というのは、非常に限定された個人情報を扱う事業者に対して一定の規制をかけるだけの法律であるにもかかわらず、今は「個人情報保護法によりお伝えできません」の一言で色々なプロセスがシャットダウンされるようになってしまいました。「個人情報保護法」と「(各法人・個人が自分の意思で行う)個人情報保護」の間には非常に差があるのですが、結局、そこに萎縮効果みたいなものが働いてしまっています。それと似たようなことが、より重大なかたちで現れてくるのではないかと気になります。)
もう一つは「特定秘密を指定する行為はきちんとしているか」を担保する措置がない、ということです。一旦秘密にしてしまえば、当該情報の内容のみならず、当該情報の存在の事実すら分からないわけですから、政権に都合の悪いもの、役所に都合の悪いものといった指定を排除する制度的なメカニズムが必要です。それに対する政権側の答えは「しっかりやりますから大丈夫です」という域を超えていません。そこにあるのは「基本的に役所内で完結させたいし、外部の人を入れるなどは論外。」という揺るがざる意思です。ということで、与野党協議を見ていると、この「出来るだけ広く引っ掛けたい」と「指定は役所内で完結させたい」というところは譲る気がほとんどないということがよく分かります。
まず、指定を狭めるために「その他重要な情報」という規定を削除して、「国民の生命及び身体の保護に関する重要な情報」という新規規定を入れたことで、対象を狭めることができたと言っている野党があります(なお、「その他重要な情報」規定というのは、例えば、テロ情報について細かく類型分けしていった後、最後に「その他重要な情報」ということでいわゆるバスケット・クローズだと思っていただければいいです。)。一つバスケット・クローズを取り払っても、新規のバスケット・クローズを導入しているわけですから、これで何かが変わるとは思えません。単なる言葉遊びの世界を出ないでしょう。(つづく)
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