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2013-11-11 00:00
(連載)中国に仕組まれた「反日デモ」(1)
酒井 信彦
元東京大学教授
昨年の9月11日は、日本政府が尖閣諸島を国有化した日であった。そのため今年も中国で「反日デモ」が起きるのではと予想された。朝日新聞の10月11日夕刊には、林望記者が北京の日本大使館前の当日の状況を早速伝えている。それによると「11日午前は数人の武装警察官が正門前に配置された以外、特別警備態勢も敷かれなかった。ネットでも目立ったデモの呼びかけは確認されていない。しかし尖閣諸島を巡る対立に歴史認識問題なども重なり、日本への反発は根強い。満州事変のきっかけとなった柳条湖事件が起きた18日などを控え、当局の警戒は続いている」と述べている。
林記者は、「日本への反発は根強い」と言っているが、ではその後の実態はどうだったのか。昨年は中国各地で展開された、暴力による凄まじい破壊行為がなかっただけでなく、デモすらなかったのである。柳条湖事件の現場である瀋陽では、18日に例年のように記念館での式典はあったが、昨年のような日本領事館へのデモはなかった。その瀋陽の様子を10月19日朝刊で石田耕一郎記者が伝えているが、その中に注目すべき部分がある。「昨年の瀋陽でのデモを巡っては参加した複数の政府系企業の職員らが朝日新聞の取材に『職場で参加を指示された』と証言。官製デモだった疑いも指摘されている」
この点については、実は12日朝刊で、石田記者はもっと詳しく説明していた。「中国東北部の遼寧省にある政府系企業で働く20代女性は昨年9月18日、瀋陽市の日本総領事館周辺であった抗議デモに参加した。」「女性は前日、職場の上司から電話で『18日は有給休暇を与えるのでデモに行け』と告げられ、同僚数人と赴いた。数千人の参加者が総領事館を囲んでいた。女性は2時間ほどいて、一部の参加者が暴徒化して投石を始める前に隊列を離れ、繁華街に買い物に行った。『退屈な仕事を休めてうれしかっただけ。今年も、もし職場が有給休暇をくれるなら参加すると思う』。女性はあっけらかんと話した」まことにふざけた話である。「官製デモだった疑い」どころか、完璧な官製デモであることは、余りも明らかである。
ところで昨年の凄まじい破壊行為が展開されたのは、9月15日であった。湖南省長沙の日系デパート「平和堂」は3店舗を破壊され商品を略奪されたが、「被害額は約20億円、テナント分を含めると30億円を超えた」(19日、朝日朝刊)という。もっとも多くの被害を出したのは山東省の青島で、その後の状況を、9月13日の産経新聞で河崎真澄記者が報告している。ジャスコ(イオン)の黄島店は、直接の被害だけで7億円だったが、昨年11月に営業を再開した、放火によって壊滅的に破壊された、ホンダとトヨタの販売店は、今年に7月と8月にようやく営業を再開したと、中国市場から離れられない日本企業の実情を伝えている。(つづく)
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