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2013-11-07 00:00
(連載)特定秘密保護法案の問題(定義の欠落)(2)
桜井 宏之
軍事問題研究会代表
なぜなら、かつて防衛省の秘密保全規定であった「秘密保全に関する訓令」(昭和33年防衛庁訓令第102号。なお同訓令は、平成19年に全部改正)は、秘密を3段階に分けており、最高度の「機密」の指定要件は、「秘密の保全が最高度に必要であつて、その漏えいが国の安全又は利益に重大な損害を与えるおそれのあるものをいう」というものでしたが、これが抽象的であると指摘を受けているからです。その指摘は、防衛省自らが行ったものです。「平成18年度政策評価書(総合評価)」(担当部局:防衛政策局調査課情報保全企画室 実施時期:18年4月~19年3月)がそれです。
「政策評価書(総合評価)」とは、「行政機関が行う政策の評価に関する法律」に基づき、各省庁が、その所掌する政策の問題点の解決に資する多様な情報を提供することにより政策の見直しや改善に資する見地から、特定のテーマについて、当該テーマに係る政策効果の発現状況を分析し、政策に係る問題点を把握すると共にその原因を分析したものです。同法は、行政機関が政策評価を行った際には政策評価書の作成を義務付けています。同政策評価書は、「秘密の指定基準が抽象的であるため、秘密を指定する者の裁量による部分が存在し、当該指定に係る文書等が漏えいした場合における影響を具体的に立証できないものまで指定される余地があった」(6頁)と当時の指定要件(基準)の在り方を批判しています。
「特定秘密」の指定要件は、当時の「機密」の指定要件より具体的とはとても言えず、後者の批判は前者にも当てはまるはずです。「公務員の数は仕事の有無にかかわりなく一定の割合で増加する」というパーキンソンの法則はよく知られていますが、これは公務員が取り扱う秘密にも当てはまるようです。平成13年11月の自衛隊法改正で新たに設けられた「防衛秘密」(自衛隊法第96条の2)は、漏洩の罰則が強められ(省秘漏洩が1年以下の懲役又は3万円以下の罰金、未遂犯・過失犯は処罰せずに対して、防衛秘密漏洩は5年以下の懲役、未遂犯・過失犯も処罰)、省秘(自衛隊法第59条)より秘匿性が高いものと位置付けられています。
この防衛秘密は、施行時(平成14年末)に保管件数が257件(9,585部)であったのが(「衆議院予算委員会要求資料(日本共産党)(第一次)」(2012年2月 防衛省)72頁)、平成23年末時点で30,752件(170,961部)と100倍以上に膨れあがっています(「衆議院予算委員会要求資料(日本共産党)(第二次)」(2013年4月 防衛省)564頁)。どうも秘密は自己増殖する傾向も秘めているようです。(おわり)
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