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2013-11-01 00:00
課題解決のリーダーたるべき日本
藤本 厚
ウエールズ大学日本校ビジネススクール講師
10月30日に、グローバル・フォーラムが(公財)日本国際フォーラムおよび米国のワシントン・カレッジ国際研究所との共催で開いた「『価値観外交』の可能性」をテーマとする「世界との対話」に参加した。多くのスピーカーが指摘したように、民主、人権、自由などの概念を日本外交の価値観(相手国に要求する規範、友好国を選ぶ判断基準)とすることは適当ではない。日本外交の目的は日本国憲法の理想である「国民が皆健康にして文化的な生活を享受すること」を世界平和のうちに実現することであったと考える。この理想は日本についてはかなりの程度実現している。しかし、世界には「健康にして文化的な生活」を享受できない貧しい人々が多い。貧困は紛争・戦争を引き起こす。日本は「世界の国民が皆健康にして文化的な生活を享受すること」を他の国々と協力して実現することを希求すると表明すべきであると考える。
日本は現在既に、経済の長期低迷、環境、資源、少子高齢化など問題に加え、地震津波などの天災、原発の早期安全な閉炉などの問題を抱えている。これらの問題のいくつかはBRICsを含む他の先進諸国も遠からず直面しなければならぬ問題である。さらにアフリカの人口増加、工業化、所得上昇は、食糧・水・エネルギー・鉱物資源の獲得を巡って国々の間の争いを激化させる恐れがある。これらの問題の解決には既存の科学技術の統合に加えて新しい科学技術の開発が必要であろう。国民に科学技術に基づく正しい知識、合理的なものの考え方を浸透させることも必要であろう。
また、筆者はこのような積極的な取り組みが順序よく合理的に行われれば、問題解決に必要とされる経済的側面も充足すると考えている。それを新しい経済学によって裏付けることも必要である。アーノルド・トインビーは、人類の歴史の研究から「文明の盛衰は、その文明が突きつけられた課題(Challenge)に対して、正しく応答(Response)できるか否かに懸っている」と説いた。この命題の正しさは日本の歴史からも裏付けられる。日本は『課題先進国日本』(小宮山宏前東大総長)として、他国に先駆け、他国の協力、他国の科学者の協力も得て、これらの課題を解決することがchallengeに対する正しいresponseであると考える。それによって自らを救い、国際的にも名誉ある地位を得ることができよう。
なお、筆者は本年3月19日TV番組ガイアの夜明けで紹介され、安倍首相が第68回国連総会で言及されたPoly-Glu Social Business Co小田兼利会長の、汚濁水の飲料水化の技術開発、そのバングラディシュにおける普及に婦人たちを動員したBOPのビジネスモデルに、課題解決国日本の一つの曙光を見るものである。
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