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2006-10-27 00:00
EU市場の有害物質規制に苦慮する中国に支援の手を
坂本 千尋子
家電メーカー勤務
有害物質の使用禁止など製造業への環境規制が世界的に広がりを見せておりますが、欧州連合(EU)が2006年7月1日付けで、電子・電気機器を対象に鉛・水銀など6物質の使用を原則禁止する
Rohs指令の施行に踏み切った影響から、中国では家電メーカーの輸出が低迷しているようです。この規制に違反すれば、EU市場での販売禁止はもとより損害賠償請求の対象にもなりますから、真剣に対応せざるを得ません。それでも日本の家電メーカーの場合は、部品や材料に含まれる化学物質の管理システムを構築しており、EU向け輸出品について「有害物質排除完了」を宣言しました。
中国では検査体制などが整備されておらず、輸出を自粛せねば成らない状況に追い込まれています。報道によれば、代替物質を使えば10%程度のコスト高が予想され、利益を圧迫することは必至と言います。中国の家電メーカーから環境試験を受託している米系の認証機関「UL美華認証」(上海市)も静観し、手をこまねいている様子です。Rohs指令をクリアするには、有害物質かどうか、環境基準に触れていないかなどを綿密に調査しなければなりませんが、そのためには分析装置を導入し、資材の調達先を監視するシステムを構築する必要があります。ところが、監視員の養成一つとっても莫大な費用がかかるため、最近は企業個々の負担を軽減するために、調査・分析・監視などの仕組みを国際標準化できないかなどの議論がわきあがっています。
すでに日本の商社、IT企業、化学メーカーなど5社が共同で環境負荷の小さな素材・部品を優先的に購入するグリーン調達の総合支援サービスに乗り出しました。家電・自動車など完成品メーカーと素材・部品メーカーを結ぶ情報システムを構築し、完成品メーカーはこのシステムを通じて素材・部品などに使われている物質を把握するわけですが、約7万種類という国内最大級のケミカル・データベースや世界各国の環境規制を検索して照合することで、万全な化学物質管理が可能になったと聞きます。
「経済成長し続ける中国にブレーキを踏むのは、中国企業にほかならない」と中国事情に詳しい識者の一人が数年前に語っていたことを、環境規制が足かせとなり家電の輸出が出来なくなっている中国の産業を見て思い起こしましました。経済の急発展にともない、中国の省エネ・環境、知的財産権保護などの問題は日本のみならず世界の重大関心事であります。中国の温家宝首相と日本経団連の御手洗富士夫会長との会談でも、温首相は省エネ・環境分野における日本の技術に期待を寄せています。知的財産権保護に関しても、関連法の整備や違反事件の摘発強化を約束したようです。だが、にわかにクローズアップされてきた環境規制に対する中国の非力について、日本が果たすべき役割はないのでしょうか。中国が引き続き世界経済の牽引力になってもらうためにも、日中両国は、政府・経済界をあげて「EU環境規制支援システム開発」の共同プロジェクトを立ち上げるべきでしょう。こうした日本側の支援が日中関係の強化に重要な役割を発揮すれば結構なことだと思います。
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