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2013-09-27 00:00
国防総省はITよりも紙媒体
川上 高司
拓殖大学教授
国防総省のOSD(長官事務局)の情報公開請求を受け付ける部署では、唯一のファクシミリが故障して外部との通信が不能に陥っている。このゆゆしき事態に担当者は「少なくとも10月までは通信不能」と、ネット時代にはありえないであろうコメントをしている。「会計年度が変わらないと新しいマシンが購入できない」というのだ。
発端は、アメリカの情報公開法に基づく公開請求をファクスで受け付けるためOSDが請求に応じられないという事態が発生したことだ。もちろんメールでもリクエストは受け付けるが、運用がトラブルだらけで役に立たない。たとえメールでリクエストができたとしてもその先はさらに茨の道である。OSDが受けた情報公開のリクエストで昨年の積み残しだけでも1000件、全体では7000件にも及ぶ。先は長い。
国防総省ではいまでも変わらず文書主義で、ほとんどの業務は文書が飛び交う。メールで送られてきた案件はプリントして書類が該当部門を回るため時間もかかるし膨大な紙が使用されることになる。前政権でのラムズフェルド国防長官は文書主義を改めようと、「効率化」をめざして改革を断行した。彼のトランスフォームの中に「紙を減らす」という項目があり、当時は奇妙に感じたものだ。だが紙の消費量はわれわれの想像を超えており予算を圧迫しているのが国防総省の実態だったのだ。効率化にかけては他に並ぶ者がいないほどの辣腕の改革者の努力もむなしく減量の成果はあがらず、結局文書主義が続いている。
国防総省のIT予算は314億ドルである。その金額があればネットワークを構築して効率を向上させることができそうなのものであるが、現実は厳しい。たとえば、記者が軍の高官に取材をメールで申し込んだとする。しばらくして広報官から返ってくる返事は「おたくの取材申し込みは確かにプリントアウトされていると思うが、私はまだ書面を読んでいないので」というものだ。 サイバー戦争の最前線に立つ国防総省の別の顔である。
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