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2013-09-24 00:00
(連載)軽減税率の難しさ(1)
緒方 林太郎
前衆議院議員
フランスで、家屋に関する消費税問題が浮上しています。家屋関係の業界団体が「家屋のエネルギー効率化に関する工事については、軽減税率の5%適用にしてほしい」と陳情していたのに対して、大統領府が「断熱関係は5%」みたいなことを言ったのですが、その定義が明確でなかったことから論争になり、最終的には「エネルギー効率化になるリフォーム工事はすべて軽減税率5%適用」ということになってしまったようです。
「断熱(isolation)」ということで当初は考えていたのに、恐らく定義を不明確にしたまま話をしてしまい、期待感の高まりから追い込まれたのでしょう。結局、エネルギーの効率化関係のリフォーム全般に繋がるものというところまで広がってしまい、暖炉の取り換え、より効率的な暖房設置とかまでを含むことになってしまったわけです。断熱関係だけだと、屋根裏、壁、窓の断熱といったところで家屋の建設工事全体の1割程度だったものが、ここまで広がってしまうと3割から4割近くが軽減税率の対象になってしまうようで、これによる減収額は7億5千万ユーロと見込まれています。大統領府は「ヘマをした」と述べています。
この政策がどうなのか、ということについては色々な議論があります。エネルギー使用の効率化を推進する良い政策だと考える方もおられると思います。ただ、この件は今、消費税引き上げとの関係でよく出てくる軽減税率を考えるのに示唆的だと思います。
結局、軽減税率は政策誘導的な要素が大きいということです。生活必需品については軽減税率を適用するとしてしまうと、生活必需品の定義を決めなければなりません。生活に必需であるというのは、大体のところはイメージが出来るのですが限界事例を挙げ始めるととても面倒です。食品は生活必需品、そうだと思います。では「中食」はどうか、高級食材はどうか、という議論になります。フランスではトリュフ、フォワグラは軽減税率の一方、キャビアは通常課税です。その理由は「国産品消費推進」という、生活必需品という考え方からは離れた視点が入っているからです。書籍は軽減税率としても、極論としてはいわゆる「18禁」ものはどうするのか、ということもあるでしょう。(つづく)
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