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2013-09-12 00:00
国連の威信を賭けた闘い―潘基文事務総長の覚悟
川上 高司
拓殖大学教授
ペテルスブルクで開かれているG20で、潘基文国連事務総長は、シリアへの軍事介入は壊滅的な結果を 引き起こしなんの解決にもならない、外交手段だけが解決できると演説しシリアへの軍事攻撃を真っ向から否定した。G20では、各国のシリア問題への対応はばらばらだった。アメリカとフランスは空爆に積極的だが、中国やロシアは軍事行動には否定的である。イタリアも国連決議なき軍事介入は反対している。ドイツは「国民が納得していない」とやはり否定している
BRICsは軍事攻撃によってもたらされる経済へのダメージを懸念している。そんなばらばらの各国の思惑に対して、事務総長は外交手段と対話による解決を訴えた。そしてシリアに駐在している4500人の国連職員はいかなる危険が迫ってもシリアにとどまるつもりだと述べた。これはまるで国連が盾とならんとしているようにもとれる。事務総長は、アメリカが国連決議がなくても人道上の見地からシリアを空爆するという主張に対して違法だと厳しく主張してきたが、今回のG20での演説ではさらにその段階を強めて事務総長の壮絶なまでの決意、「武力行使は止める」という決意がはっきりと表れている。
このままアメリカの軍事攻撃を黙ってみていたら国連の存在意義が失われ、軍事介入のハードルが下がってしまう。事務総長として国連の威信をかけてアメリカに正面から挑んでいるのである。これほどの事務総長の強い反対にオバマ大統領はそれでも決議なき軍事介入を進めることができるのだろうか。化学兵器の使用を黙認することはできないというのが空爆の根拠だが、規範を維持するために規範を踏みにじることに正当性があるならばその正当性をオバマ大統領は世界に向かって示さなくてはならない。
G20の会議中の合間、オバマ大統領はアメリカの議員たちに電話攻勢をかけていた。下院では軍事介入に反対する意見が優勢と伝えられているからだろう。世界だけでなく自国からの支持も失ったら、そのときどうすのか。ブッシュ政権の末期のように、世界は新しい大統領の誕生を切望する日々を3年間送ることになるのか、オバマ大統領への信頼を維持したままハッピーに3年間過ごすのか。重要な分かれ道にわれわれは立っているに違いない。
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