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2013-09-05 00:00
ロシアとウクライナの関税同盟を巡る交渉が決裂
飯島 一孝
ジャーナリスト
欧州との経済統合を強めているウクライナに対し、ロシアは関税同盟に加盟するよう要請、政府間交渉を続けてきたが、ついに決裂した。これにより、ウクライナは11月にも欧州連合(EU)と自由貿易協定を含む連合協定に署名する可能性が出てきた。ウクライナはソ連崩壊後、欧州への接近を強め、北大西洋条約機構(NATO)に加盟する方針を打ち出す一方、EUに参加する方向で準備を進めてきた。これに対し、ロシアは旧ソ連諸国との間で関税同盟を結び、ウクライナにも加盟するよう要請、欧州への統合を阻んできた。
ウクライナで10年1月、親露派のヤヌコビッチ大統領が誕生すると、NATO加盟方針を撤回するなど、ロシア寄りの外交に転じた。だが、地勢的に欧州に近く、エネルギー資源が少ないウクライナにとって、ロシアより欧州の方が経済的なメリットが大きいとの判断が強まっていた。こうした状況下で、ウクライナが今秋にもEUと連合協定を結ぶとの話が浮上したところ、ロシア側がウクライナ製チョコレートについて「品質に問題がある」などと指摘、対露輸出を停止する措置を取った。さらにウクライナ産石炭などの輸入関税引き上げを検討し始めた。
通商摩擦が相次いだため、ロシア政府は26日、ウクライナのアザロフ首相らをモスクワに呼んで交渉を行った。メドベージェフ首相も話し合いに加わったが、解決の糸口がつかめず、シュワロフ・ロシア第一副首相は27日、交渉決裂を宣言した。コメルサント紙(電子版)によると、シュワロフ副首相は「ウクライナは(ロシア側の)関税同盟とEUの自由貿易協定に同時に加盟したいと述べたが、両立は不可能だ。妥協の余地はなく、これ以上話し合っても無意味だ」と述べた。
旧ソ連諸国で結成する関税同盟には現在、ロシアの他、ベラルーシ、カザフスタンが加盟し、同じ関税率で貿易を行っている。ロシアなどは再三、ウクライナに加盟を要請しているが、ウクライナは加盟を躊躇。今回のロシアとの交渉では、EUとの自由貿易協定と同時に関税同盟に加盟する提案を行っていたとされる。今後、ウクライナはEUと自由貿易協定を結ぶ方向に進むとみられるが、ウクライナの産品が直ちにEU市場で受け入れられる可能性は少ない。市場でなんらかの補償措置を受けるとともに、抜本的な構造改革が求められよう。ウクライナがこれに耐えられるかどうか、これからが正念場だ。
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