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2013-09-03 00:00
(連載)中国・韓国にあなどられないために(2)
酒井 信彦
元東京大学教授
この約30年の歴史問題の歴史を通じて、日本では官民を挙げて謝罪を繰り返し、そうした中で国家意識もその根底たる民族意識も喪失してしまった。この事実を、中国・韓国ははっきりと認識したのである。その証拠こそ、昨年から今年にかけての、中国・韓国両国のあからさまな対日蔑視行動の展開である。中国は尖閣諸島を核心的利益であり、日本に奪われたものだと、明白な宣言をした。韓国の前大統領は竹島に上陸し、新大統領は加害者と被害者の立場は、1000年経っても変わらないと言い、アメリカに行っても中国に行っても、対日批判を繰り返している。
かつて中国・韓国が言っていたのは、我々は個人としては日本人に負けないが、団結力において日本人に劣る、とのことであった。しかしこれは全く過去のことになった。マスコミや知識人のみならず、政権政党自民党の中にすら、あたかも日本を貶めることを行う人々が多く存在するようになったからである。現在の日本人は、高い誇りを持っていたかつての民族ではもはやない。中国人・韓国人の方がはるかに国家意識・民族意識を持っているのであり、100年前とは立場が完全に逆転している。ただし、この現実はまだまだ日本において正しく認識されていない。特に保守の側では、日本民族優秀論に浸っている人々がいるが、昔はともかく今はそうではないという現実を、厳しく直視しなければならない。
歴史問題において、日本人が中国人・韓国人にやられている有様は、まことに無様である。中国の現実の行動は侵略国家の行動であり、その様な行動をしている国家から尖閣を盗んだと因縁をつけられている。最近の中韓首脳会談で、歴史問題での対日共闘を宣言したが、休戦60周年を迎えた朝鮮戦争では、韓国と中国は直接戦ったのであるから、韓国の民間人が中国軍に大量に殺戮されたことは間違いない。しかし首脳会談では、朝鮮戦争の話は全く出なかったらしい。また韓国人は慰安婦問題をナチスのユダヤ人大虐殺と同等の犯罪だとしている。
こうした現実を見ると、日本人は歴史問題において謝罪すればするほど、その謝罪している相手に精神をいわば侵略されているわけである。客観的に見てこれは滑稽ですらあるが、最大の問題はこうした現実があるにもかかわらず、まだ目が覚めないことである。このままでは、今の状況を見守っている多くの世界の人々も日本人を侮るに至るのではないか。それはすでに、慰安婦問題における欧米の反応や、麻生発言へのユダヤ人の批判に、表れはじめている。(おわり)
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