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2013-08-23 00:00
(連載)スハルトは偉大なるヴィジョナリーであった(2)
緒方 林太郎
前衆議院議員
なお、RCEP(東アジア地域包括的経済連携)についてですが、これはASEAN、日、中、韓、印、豪、ニュージーランドの16カ国でFTAを進める構想です。これはインドが入ってくるため、厳格に言えばFTAAPへの一里塚というよりも、インド洋の方にフォーカスが若干移っている印象があります。
こういうアメリカを排除するイニシァティブで思いだすのが、1990年代のマハティール・マレーシア首相によるEAEC(East Asia Economic Caucus)構想です。アジア意識が強く、欧米に対して強い姿勢を撮ったマハティール首相が米、豪を排除するかたちで東アジアで経済の統合を進めていこうとする発想でした。日本はこの構想でかなり悩みました。当時報道でも、外務省や経済産業省内でアジア派、アメリカ派の対立みたいな構図で煽られていたのを思い出します。当時の村山総理はEAECに同情的であったとの証言もありました。ただ、日本は対外的には終始一貫してEAECには否定的な姿勢で臨みました。
こういう経験に鑑みれば、仮に日本がRCEPを強く進めるのであれば、それはTPPとセットであるのがいいと思います。現在の国際情勢にかんがみれば、変にアメリカの疑念を巻き起こすかたちでやってもなかなか上手く行かないでしょう。ただ、それ以前の問題として、RCEPは現時点ではそこまでの強い推進力がないと思いますし、中、印が入る以上、そう簡単に纏まるとも思えません。仮に百歩譲って纏まったとしても野心的なものにはならないでしょう。実現すれば30億人を大きく超える人口を紡ぐ経済連携ですから、それこそボゴール宣言的な意味合いで見ておくのがいいのではないかと思います(時間的には16年先ということではなく、もっと早く進むのかもしれませんが)。
今、我々がTPPで大きな議論をしているのは、実は1994年にスハルト大統領が残した遺産の範囲から抜け出せていないのではないか、そんなふうに思うと、政治、外交の役割みたいなものを強く感じます。(おわり)
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