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2013-08-22 00:00
(連載)スハルトは偉大なるヴィジョナリーであった(1)
緒方 林太郎
前衆議院議員
アジア太平洋地域での貿易・投資の自由化を考える時に、私がいつも思うのは1994年のAPECボゴール宣言です。これは、当時のスハルト・インドネシア大統領のイニシァティブで「先進工業経済については2010年まで、開発途上経済については2020年までに、自由で開かれた貿易及び投資という目標を達成する」という趣旨の宣言でした。
当時、日本政府は狼狽しました。特に農林水産省は反対しましたが、最終的には「かなり先の話だし、その時どうなっているかは分からないから」といったような理由で、徹頭徹尾反対することはしませんでした。3-5年後の目標であれば反対したでしょうが、先進工業経済でも16年の期間を与えられていたわけですから、そんなに切迫感がなかったのでしょう。私はこのスハルト大統領のイニシァティブはとても好きです。ハイレベルで議論すべきはこういった将来を見据えた夢のある大きなヴィジョンです。専門家の間で議論していたら、ボゴール宣言のようなものは絶対に出てきません。通商問題にあまり強くなく、しかし剛腕な為政者であったスハルトだからこそ出せたイニシァティブです。
さて、このボゴール宣言は現在どうなっているかというと、APECで議論されているFTAAP(アジア太平洋自由貿易圏)に引き継がれていると見ていいでしょう。FTAAP自体にあまり明確な定義がありませんが、書いて字の如く「アジア太平洋地域での貿易の自由化」ということでしょう。このFTAAPをどうやって実現するかについて、一番の正攻法はAPEC内でハイレベルなFTAを実現すればいいのでしょうが、ロシア、中国等が入る中、そこに到達するのは難しいでしょう。
そうしたことから、現在とられているアプローチはASEAN+3、ASEAN+6やTPPといった多くの取組を積み上げながらFTAAPの目標に近づいていこうというものです。TPPはFTAAPに向けた取組の一つであると見ていけばいいのです。日中韓FTAもその中に位置づけられるものでしょう。そのように考えると、スハルトの遺産は今でもアジア太平洋の貿易を大きく形作っています。当時、ボゴール宣言については「荒唐無稽」、「非現実的」といった議論がありました。しかし、今のアジア太平洋の姿を見ていると、実はスハルトは偉大なるヴィジョナリーであったと言えるでしょう。(つづく)
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