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2013-07-27 00:00
(連載)中韓をつけあがらせる日本の軟弱外交(1)
酒井 信彦
元東京大学教授
韓国の朴大統領が、6月27日から30日まで、4日間にわたって中国を訪問した。今回の訪問の基本的性格は、歴史上初めて日本訪問より中国訪問を優先させた事実に、明瞭に表れている。すなわちそれは中国と結託して日本を抑圧する、対日外交攻勢の発動であった。27日の習国家主席との首脳会談後に発表された共同声明のポイントは、28日の産経新聞の記事によれば、「両首脳は共同声明に『最近、歴史問題などにより(北東アジア)地域の国家間の対立と不信が出現し、状況はさらに悪化している。これに対して憂慮を表明する』との文言を盛り込み、日本を牽制した」とある。日本という名指しはなかったものの、明確な両国による対日攻撃である。
この産経の記事では、アメリカが韓国に日本批判を避けるように働きかけ、韓国は当初この文言を盛り込むことに消極的であったが、中国側の強い意向で入れられた可能性が高いと説明している。しかしこれはどこまで本当のことなのか、はなはだ疑問である。韓国側も極めて積極的だったのではないのか。それは朴大統領による、歴史問題を利用した露骨な対日攻撃が、中国滞在中に次々と繰り出されているからである。29日には習主席の出身校である清華大学で講演して、北東アジアにおいては、経済的な相互依存関係は進展しているが、「歴史と安全保障問題では葛藤と不信により、政治、安保協力」は経済関係に及ばないと述べて、北朝鮮と並べて日本を北東アジアの不安定要因だとやり玉に挙げた。
28日の迎賓館における首脳の昼食会では、大統領は習主席に対して、伊藤博文を暗殺した安重根は、「韓中両国民にとって尊敬すべき歴史的人物だ」と述べて、「安重根の記念碑を暗殺現場の中国黒竜江省ハルピン駅に設置するための協力を要請した」という。29日に大統領は陝西省の西安を訪問したが、同地は「日本の朝鮮半島統治に抵抗した朝鮮人らが1940年代に部隊置いた」ところで、大統領は「同省の共産党幹部に記念碑建立の許可を出すよう求めた」。慰安婦問題で味を占めた記念碑建設作戦を、中国でもやろうとしているわけである。
今ではすっかり忘れ去られているが、中国と韓国が歴史問題による対日攻撃で、明確に共闘をうたったことが過去に在った。それは今から約20年前の1995年秋に、江沢民と金泳三が行ったもので、きっかけは江藤総務庁長官による発言だった。またこの年は、終戦からちょうど50年に当たり、夏には例の村山談話が出されている。ただしこの共闘は、順調には発展しなかった。(つづく)
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