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2013-07-26 00:00
露メディア、日露関係への期待と右傾化への懸念
飯島 一孝
ジャーナリスト
ロシアのメディアは21日の参院選で与党が大勝し、自民党中心の安定政権ができることを歓迎する論調を伝えている。その半面、安倍晋三首相が米占領軍作成の憲法を改正し、国防軍設立を目指すタカ派であるとみなし、日本が右傾化する危険性を危惧している。23日付けの有力紙コメルサント(電子版)は、タス通信のゴロブニン東京支局長の記事を掲載し、「日本は今後首相を極力替えないことを決めた」との見出しで、参院選の結果と安倍政権の今後の見通しを分析している。
参院選の結果、自民党と公明党の連立政権が衆院、参院ともに過半数の議席を獲得し、07年以来の「ねじれ」が解消されたと指摘。今後、首相が毎年交代する異例な事態はなくなり、安倍政権は少なくとも次期総選挙が行われる3年後まで安定政権を維持できるとみている。安倍政権は、まず第一に経済発展に全力を上げることを強調。すでにデフレ脱却に効果を上げつつあり、今後雇用の拡大と賃金増加を目指すとしている。その一方、安倍首相は今後、「別の目的に関心を移す用意がある」と指摘し、憲法改正問題に言及している。この中で、ゴロブニン支局長は安倍首相が天皇を現在の「国民統合の象徴」から国家元首の地位に戻し、戦争の放棄を定めた憲法九条を改正する意向を持っていると書いている。
首相は9条改正の具体案として、国際紛争を解決できる国防軍の設立を目指しており、弾道ミサイルのような攻撃兵器の保有を考えているとみている。さらに、首相は戦後の歴史認識に関して近隣諸国に謝罪するのをやめたいとしており、北朝鮮はもちろん、中国や韓国の怒りを買っていると強調している。首相は当面、中韓両国との緊張関係が緩和される見通しがないことから、友好国を探す必要に迫られており、ロシアとの関係強化を検討している。すでに首相は、日露間の唯一つの懸案である北方領土問題を解決する用意があると述べている。また、日本のエリートは、ロシアがエネルギーなどあらゆる面で日本との協力を望んでおり、極東で生産される天然ガスの主要な消費国になる考えを持っているとみている。
東京勤務が長く、日本外交の権威であるゴロブニン支局長は、ロシアと日本の関係が安倍政権で一層緊密になると期待している半面、日本の右傾化を憂慮している面が感じられる。安倍政権は当面、中国、韓国との領土問題、歴史認識問題の解決に全力を上げることになるが、そのあとにロシアとの領土問題の解決が待っている。安倍政権の言動をじっくり注視したいというのがロシア側の本音だろう。
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