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2013-07-14 00:00
国民はプーチン大統領の離婚をどう受け止めているのか?
飯島 一孝
ジャーナリスト
プーチン大統領(60)が先月、約30年間連れ添ったリュドミラ夫人(55)と離婚したニュースを、ロシア国民はどう受け止めたのだろうか?その結果がこのほど世論調査機関レバダ・センターで明らかになった。過半数の人が「大統領への評価には影響しない」と冷静に受け止めていた。11日付けのコメルサント紙(電子版)によると、調査は6月20~25日の間、全国で約1600人を対象に行われた。大統領の離婚を「最も記憶に残る出来事」と思う人は28%だった。男女別にみると、女性の35%がそう思ったのに対し、男性は20%で、男女間に15ポイントの差が出た。
さらに、離婚のニュースに関して「大統領の評価に影響しない」と答えた人が65%にのぼり、「評価が悪くなる」と答えた人は27%、「評価がよくなる」と見る人は3%足らずだった。グラジダンキン同センター副所長は「ロシア人は有名人の私生活に関心はあるが、離婚は個人的なことで重要な問題とは思っていない」と分析している。また、モスクワ大学政治哲学学部のエレーナ・シェストパル教授は「プーチン大統領のイメージは既に固まっているので、どんなに重要な要素でも揺るがない。離婚によって大統領の評価が悪くなるという人は、伝統的な価値観の信奉者だ」と語っている。
一方、与党「統一ロシア」のオリガ・バターリナ下院家族・女性・子供問題第一副委員長は「離婚の事実自体は重要ではない。その後、どのような結果が起きるかだ。大統領は模範的な離婚例を示したので、国民の理解と支持を得ている」と、女性でありながら大統領を高く評価するコメントを出した。こうした世論の背景には、ロシアが世界有数の「離婚大国」であり、離婚経験者が非常に多いという事情がある。その理由には、アルコール中毒や薬物依存症の患者が多いうえ、貧困や住宅の狭さも響いているという。だから、離婚問題で大統領だけ責めるのはおかしいという指摘もわからないではない。
だが、今回の離婚が明らかになった手法や時期に問題が残る。大統領夫妻が6月6日、バレエ鑑賞を途中退席した際、国営テレビの質問に答える形で「円満な離婚に合意した」と認めたことだ。これは明らかに“やらせ”である。しかも、18年の次期大統領選まで5年近く残っている。つまり、選挙に響かない形で事実上公表したということだ。世論調査はこうした点にまで言及していないが、それをはっきり指摘して質問すれば、少なくとも女性の反応はもっと厳しくなったに違いない。今回の離婚騒動は、プーチン大統領の思惑と違って、次期大統領選にボディーブローのように効いてくるように思えてならない。
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