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2013-07-11 00:00
(連載)「ねじれ解消」は、むしろアベノミクスの障害になる(3)
鈴木 亘
学習院大学教授
つまり、小泉元首相の「自民党をぶっ壊す」、「小泉改革に反対するのが抵抗勢力である」という政治手法を、今度は第3極政党が利用するのである。改革派と守旧派の色分けは、もともと自民党改革派出身者の多い第3極政党にはお手の物であろう。これは、実は国民にとっても「慣れた構図」であり、非常に分かりやすい上、選挙の短い期間でも受け入れやすい。実は、多くの国民は、4年前までの自民党の族議員政治、官僚依存政治を決して忘れている訳では無く、4年前と同様、依然として辟易としているのである。かといって、もう民主党政権は懲り懲りであるが、自民党を大勝させて昔の自民党が復活することも望んでいない。安倍首相は応援したいが、族議員等の守旧派は応援したくないのであり、国民も悩ましいところなのである。
そうした時に、「アベノミクスをはじめとする改革を進めるために、むしろ第3極政党を支持する方が近道である」、「それこそが、改革派の勢力を広げると言う意味で、真の『ねじれ解消』になる」というスローガンを出せば、それはそれなりに国民の心に届くように思われる。安倍政権に必要なのは、「遠くの族議員よりも、近くの野党(第3極)」なのである。しかし、そう主張するには、第3極政党は、かつての民主党のように「反対のための反対」や、単に政権交代を起こすためだけの「ねじれ国会の悪用」は絶対にしないと言うことを「公約」しなければならない。今回の問責のように、意見の違う野党と協調して、重要法案を廃案にするような矛盾した行動は絶対にしないことを国民の前に誓うべきである。また、現在の民主党施行部に接近したり、共産や社民を含む全野党協調路線をとるようなことがあれば、それは自殺行為と言えるだろう。
それにしても、今回の党首討論や幹事長討論で改めて感じたことは、みんなの党と維新の会の政策の近さである。私の専門である社会保障分野など、ほとんど瓜二つと言える。なんとかもう少し協力し合えないのだろうか。そして、維新の会は、もう少し政策が近い者同士で純化できないものかとも思う。もう一言。そう言えば、自民党選挙公約(マニフェスト)で、インフレ目標が2%から1%に引き下げられたことが、エコノミストの間で話題になっている。安倍首相があれほどこだわっていた2%のインフレ目標でさえ、自民党のフィルターを通ると1%になってしまうのである(名目成長率3%、実質成長率2%を目指すとされているから、差し引きすれば1%ということになる。GDPデフレーターとCPIは違うなどという野暮なことは言わないこと)。
実は、この1%というインフレ目標の数字は、長期金利上昇を警戒する財務省が主導した「骨太の方針」から、そう書き換えられているのであり、同じ勢力が選挙公約づくりを主導したといえよう。安倍首相とその側近達は、身内であるはずの自民党や霞が関の官僚たちに、気を抜くと後ろから矢を射られる世界に生きているのである。自民党の外からの協力が必要なことは明らかである。(おわり)
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