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2013-07-03 00:00
プーチン大統領、全ロシアの「ロシア正教化」を狙う?
飯島 一孝
ジャーナリスト
プーチン大統領は、ロシア正教などの信者を侮辱した者を処罰する法案と、青少年に同性愛の宣伝を禁止する法案を承認した。これを受け、両法律は直ちに施行される。これは、プーチン政権がロシア正教と結託して実施している「保守反動化作戦」の一環とみられている。リベラル派のルシコフ元下院議員によると、政権側がこうした法案を次々に国会に提出、成立させているのは、反プーチン派に対する「保守反動勢力の反撃」だという。プーチン氏が大統領に復帰した昨年5月以来、ロシア正教と協力して行なっているもので、大都市のリベラル派を迫害し、保守反動勢力に都合のいい国家を作るのが狙いという。
ルシコフ氏は、こうした保守反動派の攻撃でロシアの将来に絶望し、海外に流出する有能な専門家が驚くべきペースで増えていると指摘する。近年は年間約10万人が国外に脱出し、海外に住むロシア人は200万人を超えているとみられる。30日付けのコメルサント紙(電子版)によると、信者侮辱処罰法案は刑法の改正案の一つで、社会に敬意を払わず、信者の宗教的感情を侮辱する目的で行われた、公然たる行動を処罰対象としている。罰則は最高30万ルーブルの罰金、あるいは最高1年の禁錮刑などとされる。また、同性愛宣伝禁止法案の罰金は最高5000ルーブルとなっている。
宗教関係では昨年、女性のパンクバンド「プッシー・ライオット」が、ロシア正教会の聖堂内でプーチン政権批判のゲリラ演奏を行った事件に絡み、法律改正が行われている。今回は、これに続く宗教関連法案の罰則強化となる。こうしたロシア社会の現状について中村逸郎・筑波大教授は「確実にプーチン政権による『全ロシアの正教化』が深化している」と指摘する。プーチン大統領は、正教会に積極的に接近しながら愛国主義を鼓舞し、官僚機関と巨大な与党を手中に収めていると同教授は『ろくでなしのロシア』(講談社)の中で書いている。
政権側のこうした攻勢は、ロシア社会の保守化を促進するだけでなく、国民の政治への不信感を一層募らせているに違いない。今秋、モスクワ市長選をはじめ、地方自治体の首長・議会選が行われるが、有権者がどういう審判を下すか、じっくり見ていきたい。
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