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2013-06-26 00:00
(連載)アベノミクス第3の矢は、なぜ「竹やり」か(3)
鈴木 亘
学習院大学教授
これが、私が垣間見た規制改革会議の官僚支配の現実である。安倍首相や甘利大臣は、(たとえ不十分でも)今ある成長戦略を確実に実行してみせることで成果を上げるとしているが、その実行をチェックする事務局がこのありさまでは、相手官庁に配慮して、細部で骨抜きになっていったり、サボられたりする可能性が高いものと思われる。しかし、冷静に考えれば、もともと自民党という政党は、官僚依存の政党であり、規制緩和に反対する既得権益・業界利権に立脚した族議員中心の政党なのである。来る参院選挙で無党派層にアピールするため、改革派のイメージを背負った安倍総理やその側近達がいくら頑張ってみせても、党内の政治力学、あるいは霞が関との力関係から言って、そうたやすく改革が進むわけではない。
ましてや、参院選で脅威になると思っていた「維新の会」がオウンゴールを重ね、「みんなの党」も維新と手を切ったのは良いが、実際には一緒に自沈している。民主党に至っては、未だに反省の意味すら理解できない混迷ぶりであり、民主党政権のトラウマから長期政権を望む国民の「下がり切ったハードル」と相まって、7月の参院選は自公両党の圧勝が確実である。このように、無党派層にアピールをする必要性が全く無くなった状況下では、古い自民党や官僚主導が復権し、成長戦略が骨抜きになることはやむを得ない。
既に政府は、マスコミの批判を考慮して、成長戦略に設備投資減税を追加で明記したり、参院選後の秋に、成長戦略の第二弾を打ち出す等と発表しているが、政治力学から考えて、今出ている成長戦略よりマシな内容になるとは考えにくい。参院選で自公政権が盤石の基盤を築き、次の衆院選までほぼまるまる4年もある無競争状態で、自民党が既得権に踏み込んだ改革を行う動機は、何一つなくなるからである。恐らくは、先日の「保育園抜き、幼稚園児のみの幼児教育無償化」( http://blogs.yahoo.co.jp/kqsmr859/37538232.html )のように、業界利権に配慮したバラマキ拡大策を成長戦略と称するかもしれないし、税制改革や投資減税も官僚達が利権を拡大しやすい方向に歪められる可能性が高いだろう。つまり、秋に出る成長戦略は相当に劣化したものになる可能性が高い。
何か手を打つのであれば、参院選の後よりも、参院選の前である。参院選後の秋では勝負は既に終わっている。なんとか、官僚支配の3会議に民間出向者を大量補充したり、「国家戦略特区」に霞が関の官僚支配が簡単に及ばない仕組みにするなど、官僚支配の「舞台装置」を変えることを今のうちに仕込むことが重要である。特に、官僚支配で調整不能になった3会議が、なんとか切り出して脱出させた「期待の舞台装置」が国家戦略特区であるから、これは大事にすべきである。また、前回の規制改革会議では、地方分権改革推進委員会と協調路線をとって、規制改革事案を進めることが多かった。「敵の敵は味方」であるから、霞が関に対抗する地方自治体を味方につけて改革するという視点も重要である。今回は、なぜか地方分権という視点が成長戦略からほとんど欠如しているが、地方の声と力をもう少し引きいれることも、「舞台装置」の変革になるのである。(おわり)
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