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2013-06-09 00:00
(連載)中国人の沖縄侵略を許すな(1)
酒井 信彦
日本ナショナリズム研究所長・元東京大学教授
5月3日の産経新聞、「鼓動2013」の欄の「中国」の回で、河崎真澄記者が「尖閣の次『沖縄を返せ』主張」の見出しのもとに、中国の人間が公然と沖縄侵略を言い始めたことを、長文の記事で報告しており、これは極めて貴重である。
リード文は、「米国から日本への1972年5月の沖縄返還を『国際法違反だ』として、『歴史的経緯からみて琉球(沖縄)の主権は、日本ではなく中国にある』などと”沖縄領有論“まで唱える動きが、中国でじわりと広がっている。中国政府の表立った主張ではないが、人民解放軍幹部や学識経験者らが論を繰り広げ、国営メディアも報道。チベット自治区をまねて、『琉球特別自治区』の設立準備を求める民間組織まで現れた」。
リード文にある人民解放軍幹部というのは、国防大学教授で人民解放軍海軍少将の張召忠という人物で、昨年10月、中国中央テレビの番組で、「釣魚島は言うに及ばず琉球も中国に属している。琉球の独立支持、または中国の省として執政下に直接置く戦いをいま、各方面から起こすべきだ」と主張したという。学識経験者というのは、上海の復旦大学日本研究センター副主任の胡令遠教授で、この人物には河崎記者が直接インタビューしたようで、中国では尖閣問題をきっかけに、この数年沖縄への関心が高まってきたと語った。また胡は論文で「日本は琉球の主権を有しておらず、中国の政府と学会、メディアは密接に協力し、琉球の主権と帰属問題の研究と宣伝を繰り広げよ」と述べているという。
その中でも注目すべきなのは、河崎記者は一応「怪しげな民間勢力の感情論」と言っているが、記事の冒頭で紹介し、直接のインタビューも行い、大きな写真も掲載している、趙東という人物の主張であり、中国人の本音をもっとも端的に表していると言える。趙は貿易会社を経営しているが、広東省深圳に「中華民族琉球特別自治区準備委員会」の事務所を置いている。ポツダム宣言には、「日本の主権は本州、北海道、九州と四国、および連合国決定の諸小島に限られる」とあり、沖縄は含まれていないから、日本の主権が無いと、まずは法律論を持ち出す。(つづく)
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