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2013-06-05 00:00
(連載)TICAD Ⅴ:日本―アフリカ関係の新時代か(2)
六辻 彰二
横浜市立大学講師
その意味で、TICAD Ⅴは日本とアフリカの関係における一つの転換点になり得ます。今回、これまでになく政府と企業の連携がみられるようになっているのです。政府は日本企業のアフリカ進出を支援するため、アフリカ投資基金を通じた金融支援を、5年間で50億ドルに倍増させることを決定。これまで「援助」や「国際協力」といった文脈で捉えられがちだった日本―アフリカ関係に、ビジネス、経済といった要素を取り入れる動きがみられ始めています。その背景には、新興国なかでも中国が国家ぐるみでアフリカに急速に進出し、欧米諸国と勢力争いを繰り広げるなか、日本が取り残されることへの危機感があるといえるでしょう。いずれにせよ、個人的には日本がビジネスパートナーとしての視点をアフリカに対して持つこと自体は歓迎できますが、それがこと資源・エネルギーという文脈でのみ語られがちなことには違和感を覚えます。
昨年12月、アフリカから初めて来日した友人を都内観光に連れ出したとき、その購買意欲の旺盛さには、ある程度予期していたこととはいえ、正直驚きました。久しぶりに会ってまず聞かれたのが、「東京は初めてだが、ミキモト真珠はどこだ」という質問でした。その後の数日間、一緒にしている仕事の合間をぬって、最近欧米で人気の日本製ランチボックスを買うために銀座三越まで行ったほか、日本製デジカメのバッテリーの買い換えで有楽町のビックカメラ、さらにロンドンで知って以来お気に入りだというユニクロや無印良品の店舗などをめぐるショッピングツアーに同行することになりました。その結果、「クリスマスの買い物は全部日本で済ませた」という一言を残して、友人たちはアフリカに帰っていきました。
もちろん、仕事で日本にくる人たちですから、高所得層、わるくても中間層です。しかし、私の友人に限らず、所得水準の向上によって、従来は高値の花だった日本商品を購入しようとするひとたちが、中国やインドと同様、アフリカで増えているのも確かです。一方で、自動車メーカーを除くと、グローバルに展開している日本企業でもアフリカは手薄というところが稀ではありません。先ほどの友人たち曰く、最大の経済大国・南アフリカでもユニクロの店舗はないということでした。そのうえで、「日本製品は全般的に好きだが、アフリカであまり売っていない」と言われました。恐らく、製品本体もそうでしょうが、スペアパーツや付属の消耗品となると、なおさらなのでしょう。日本に来る機会を捉えて、わざわざデジカメのバッテリーを買って行ったのが印象的でした。
他地域と比べて、アフリカにカントリーリスクが目立つ国が多いことも確かです。しかし、日本製品のクオリティ、コストパフォーマンスに対する信頼度はアフリカでもやはり高く、さらにそれを消費できる購買力も備わりつつあります。先ほども言ったように、アフリカとの経済的な結びつきというと、資源・エネルギーというところがクローズアップされがちですが、一方で日本からみたマーケットという視点も、ぜひ日本の製造や流通各社に期待したいところです。そんなことを考えていたところ、あるメディアからお声がかかり、TICADについて話す機会をいただきました。かつてメディアにおけるTICADの露出の少なさに驚いていた学生時代のことを思えば、個人的には今回のTICADに関する事柄のなかで、これが一番時代の変化を感じることかもしれません。(おわり)
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