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2013-05-29 00:00
維新“火だるま”で「自公蜜月」へと回帰
杉浦 正章
政治評論家
「浮気されそうだったが戻った」とある公明党幹部が漏らしている。維新の「橋下自爆発言と大失速」の結果、政治の軌道が「自公ペース」へと完全に回帰したというのだ。いったんは維新寄りに傾いた首相・安倍晋三は“維新離れ”に急転換、参院選はもちろん、政策面でも公明党を重視せざるを得なくなった。憲法改正への動きも公明党の「加憲論」を考慮に入れざるを得なくなってきている。もちろん公明党の反対する衆参同日選挙の可能性も霧散した。公明党幹事長・井上義久は「よほどのことがない限り自公政権は続く」と胸を張っている。後になって考えれば5月24日の与党党首会談が決定的な重要性を帯びていたのだ。公明党代表・山口那津男は28日、通常国会の会期に関して「24日の与党党首会談で、延長しないようにする国会運営を目指していこう、という基本的な共通認識を得た」と言明している。6月26日までの会期を延長しない事になったというのだ。党首会談では自公共通公約も作成しないことで一致した。幹事長・石破茂が「共通公約はどうしましょうか」と水を向けると、山口も首相・安倍晋三も「政権合意ができてまだ半年だから、作らなくてもいい」と一致したという。両者とも維新の体たらくが頭をよぎったに違いない。共通公約づくりは、公明党が自民と維新の連携を意識して作成の方向を打ち出していたものだが、維新失速で作るまでもないということになったのだ。
さらに井上は参院選の日程について「7月4日公示、21日投開票」で一致したことを明らかにすると共に「自公で過半数は確定的だ」との見通しを示した。これに関連して公明党幹部は「参院選単独となる」と漏らしており、ダブル選挙の可能性が完全になくなったことを明らかにした。その根拠として、自公両党は「0増5減」の衆院区割り法案についても「6月9日」成立にこだわらず、衆院通過の60日後の6月22日以降の衆院再可決・成立で暗黙裏に一致しているというのだ。「6月9日」というのは、ダブルを実現するための1か月間の周知期間を考慮して同日の区割り法案成立、7月9日の衆院選公示を意識した日程だった。
7月21日参院選単独実施の日程は、冒頭述べたように自公蜜月時代の復活を意味する。ダブル選では公明党の組織票が割れて、事実上連携不可能となる。この結果、参院選挙での連携も急速に進み始めており、公明党は最近、自民党の参院選候補9人の推薦を新たに決めた。公明党が推薦する自民党候補は計40人となった。最大の理由は何と言っても橋下の慰安婦問題を巡る一連の発言にある。余りの過激さに自民は全く持て余し、副総裁・高村正彦が28日維新の現状について「火だるまになっている。個人が火だるまになるだけじゃなくて、党としても大変な打撃を負っているようだし、慎重の上にも慎重になって、もって他山の石としてもらいたい」と述べていることが象徴している。火だるまに抱きつかれても、抱きついてもいけないというのだ。産経の世論調査では自民と維新の連携を望む回答が前回4月の20.7%から10.7%へと半減した。逆に「どの政党とも連携すべきでない」との回答が33.5%から41.5%へと8ポイントも増加。公明党との連立維持を望む意見も18.3%から20.5%に微増した。これが物語るものは有権者の「維新切り捨て」論が圧倒的であることだ。
安倍は、維新が17~18議席取るとの説があったころは、自民・維新・みんなの改憲勢力と民主党の改憲派切り取りで、参院でも3分の2を達成できると判断していたフシがある。維新失速はこの構想をも失速させた。こうしたことから安倍の改憲戦略は大きな転換を迫られる事態に立ち至った。これを見透かしたように公明党幹部からは改憲に柔軟ともとれる姿勢が出始めた。公明党はもともと改憲ではなく憲法に加筆する「加憲」論だが、憲法改正論議でも公明党が影響力を発揮する可能性が出てきたのだ。参院選で維新やみんなの勢力が伸びなければ「改憲発議に必要な衆参各院の総議員の3分の2以上の賛成」には公明党の協力が重要になってくるからだ。公明党は環境権などの導入を念頭に「国民的議論が熟せば、発議はあり得る」としている。参院選の公約案にも「加憲」の方針を明示した。注目すべきは憲法9条に「自衛隊の存在」や「国際貢献のあり方」について明記することも加憲の対象としたことである。これは「加憲要素」を含めれば公明党も改憲へと動く可能性があることを物語っており、今後重要な着目点となるだろう。維新の天国から地獄への墜落は、こうして公明党の存在感を一段と強め、安倍の右傾化傾向を公明党がチェックして軌道修正する流れが強まるだろう。
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