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2006-09-29 00:00
連載投稿(2)つぎのチャンスには大胆に行動せよ
小山清二
国家公務員 特許庁 先任審判官
この新たな冷戦構造の背後には、地政学的には、大陸国家群と海洋国家群との対峙であるが、根底には原油を巡る壮絶な資源・エネルギーの争奪戦であり、その原油の決済を巡るドル、ユーロ、そしてルーブルなどの通貨覇権戦争でもあろう。そこで、単純に考えても、世界的大動乱の中核地として、世界の原油資源の3分の2を占める中近東が、世界激動の3分の2を占めて行くであろうと容易に予測出来るものだ。
こんな国際情勢を背景に、北方領土を取り巻く環境も、新たな冷戦構造の復活と共に、軍事戦略的にも地政学上の重要性も復活し、更に二つの面で大きく変化した。一つは漁獲資源である。漁獲資源も、以前ならば、世界は大して関心もなかったが、今ではロシアを始め中国、韓国など近隣諸国が多大な関心を示し、豊富な漁獲資源が存在する北方領土周辺の海域は、漁獲資源の争奪戦場と化してしまい、平和的外交交渉による領土返還の可能性は、以前よりも増して遠退いてしまったようだ。
もう一つは地下資源である。今やサハリンの豊富な天然ガスや原油もさることながら、その近隣地域の千島列島やカムチャッカ半島に至る火山群島までが、豊富な地下資源が存在することも解ってきている。その中で、北方領土には、火山という性格上、豊富な地下資源が存在することが次第に解ってきた。既にロシア側は、火山内部の豊富なレアメタルの存在を知り始めており、その面からも、日本側の情勢音痴のノー天気なお題目一辺倒の要求も、既に限界に達したと思われる。このままでは、平和的解決が可能であったとしても、良くて共同管理であろう。
当方も政府当局や関係諸機関に、画期的な火山灰利用技術の紹介や、火山灰及び火山を巡る国家プロジェクトとして、日本が有力な資源・エネルギー国への大転換を実現する30数万字に上る大論文の著作「新日本列島大改造の実践に向けて」を、今年初頭に提示したが、全くの無関心である。実に、自ら率先して思考し判断し行動することもない横並び思考で、実質的な内容よりも形式に囚われ、危機意識も喪失した日本人特有の国民性であろうか。危機が具体的に顕在化するまで、即ち、追い詰められてどうしようもなくなるまで、先見性や戦略性を有して行動しないし、気付かない国民性であろうか。当方の提言も、米国当たりから多大な関心を持たれてくることを期待したいものだ。そうでなければ、世界は壮絶な原油争奪戦争に突入するは必至だろうと思われる。
ところで、ただ唯一、領土の全面奪還・返還を将来的に期待出来るのは、ロシアの東西への再分裂の可能性だろう。現在の諸情勢は恰も昭和6年当時と酷似しており、恐らく来年2007年から10年間は世界は歴史的大混乱に陥って行くであろうと予想される。背景には、原油を巡る壮絶な争奪戦であり、通貨戦争の本格的な幕開けであろうと思われる。中国やインドの経済大躍進を背景に、新たな大規模油田の発見も追いつかずに、原油の2007年ピーク説も飛び交っており、そんな中で、今後とも原油価格の高騰は、紆余曲折はあろうが、大局的には次第に深刻化して行くであろうと予測出来るというものだ。
日本も国家や地方の財政破綻、産業国際競争力の低下、原油高騰を背景に貿易上の破綻が待っていると思われ、米国ですら例外ではなく、ドル崩壊の危機と隣り合わせであり、中国も国内的にも幾多の矛盾を抱えており、いつ暴発・爆発するかであろう。ロシアも原油高騰で外貨準備高も好調とは言いながら、人口減少問題、所得や地域間格差も深刻で、再度、経済と軍事との不均衡により、再分裂する可能性も予想される。因みに、旧ソ連邦の崩壊は、経済と軍事の両輪のアンバランスにあったと言えるが、再度、同じ道を歩んでいく危険性も残っている。
こんな近未来の情勢の中で、中近東で大混乱が発生した際に、ロシアがそれに巻き込まれ、東西への分裂の危機が襲来し、そして辺境の北方領土への関心が遠退いたときが、北方領土に対する何らかの行動を起こす唯一の機会であろう。もっとも、中近東が3分の2を占める大混乱の地域とはいえ、残りの3分の1は、恐らく、台湾海峡や朝鮮半島の北東アジアであろうと思われる。また日本も、ロシア以上に、原油供給の遮断、国家財政破綻などで、自らの足下に火が付くほど大混乱に陥っていくだけの脆弱性を抱えているのも事実である。とても、北方領土などへの関心すらも喪失するほどの大激動に巻き込まれて行くであろうと思われる。
しかしながら、こんな状況にこそ、大胆な行動が必至であり、この機会を有効に活用しなかったならば、それこそ、日本ないし日本民族は、国際感覚もなく、国際情勢にも音痴であり、腰抜け、腑抜け、間抜けとなって、後世に歴史的な後悔を残すことになろう。自らの国家防衛の意志も忘却し、他力本願の日本は、亡国の危機に突入し、世界的大激動からは二度と立ち上がれなくなって行くであろう。近未来のおける北方領土の奪還は、実に、田中角栄氏ほどの破天荒な行動力、外交力を有した政治家の登場であり、またその指導力を正当に評価できる国民性の変革が必須であり、更には激動の国際環境の到来でこそ可能であろうと思われる。
こんな過去に対する考察、そして近未来に対する洞察や先見などは、利害関係者が見ている中で公開するものでもないが、どうせ、当方の資源・エネルギー問題に対する提言すらにも、危機感も関心も感動もない故に、北方領土問題を取り巻く国際環境の展望にも関心も理解もなく、ましてや実行力もないものと思うからこそ、荒唐無稽、夢物語として受け止められることを承知で指摘させていただいた次第である。この当方の見解や洞察も、後世の歴史家が解明していくことであろうと期待するものだ。(おわり)
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