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2013-04-26 00:00
安倍首相のGW訪露は期待できるのか?
飯島 一孝
ジャーナリスト
安倍晋三首相のロシア訪問が近づき、アベノミクス同様、北方領土問題解決への期待感が高まりつつある。中国や韓国との領土紛争が緊迫化している中で、唯一話し合いのルールができているからである。だが、戦後68年たっても解決しなかった難問が、そう簡単に解決するわけはない。首脳交渉が今後どう進むか、じっくり見守りたい。安倍首相とプーチン大統領との首脳会談は4月29日に予定されている。日本の首相の訪露は実に10年ぶりで、それだけ日露関係が疎遠だったといえる。外交問題、とりわけ領土問題は首脳同士の個人的関係が重要なだけに、まず安倍首相とプーチン大統領との間で信頼関係を築くことが肝心である。
次いで、両国とも問題解決を強く望んでいるかどうかだが、ロシアはユーロ危機とシェールガス革命で経済の軸足をアジアに求めざるを得ない状況にある。日本もエネルギー資源の分散化・多角化を図らなければならず、両国の関係強化を阻んでいる領土問題の解決が急務となっている。さらに、両国の期待感を高めているのは中国の台頭とそれを巡る国際情勢の変化である。米国中心の“中国包囲網”が狭まる中で中国はロシアとの関係強化を望んでいるが、3月に行われた習近平国家主席の訪露で分かったように、ロシア側は意外にクールで、日本が中露の間に入り込める余地は十分ある。
とりわけ領土問題では、ロシア国内でも解決に向けた具体案が出始めており、「2島返還でおしまい」との強硬姿勢に変化が出てきている。プーチン大統領は早くから「引き分け」を主張していて、2島と4島の中間での解決を目指しているとみられる。日本側がきちんとした提案をすれば受け入れられる可能性はある。今の状況では、今回の首相訪露で具体的な解決案まで協議される可能性は少ない。双方の解決への意欲を確認し、解決への方法あるいは工程を議論するところまで進めば成功と言えるだろう。具体的な解決案協議は今夏の参院選で自民党が勝利し、安倍政権が後顧の憂いなく領土問題に取り組めるようになってからだ。
早ければ来年にも領土解決のヤマ場が来るかもしれない。それまでに日本の世論が一定の方向にまとまることが肝心だ。依然として4島一括主権確認や4島返還論が大手を振っているような状況では真の解決はおぼつかない。まず政府・自民党が日露双方で受け入れ可能な解決案を作成し、国民に示すべきだ。
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